マーケティング戦略 (その1: なぜリーフ茶なのか)

 りゅうこく茶のマーケティング戦略(のようなもの)を紹介いたします。
 まず問題となるのは,「ペットボトル茶市場の頭打ち」です。
 下の図は伊藤園の毎年の事業報告書に掲載されている数字をエクセルで描いたものです。
 
 上の図で,折れ線の「飲料化比率」(右目盛)は,「飲料製品(ドリンク)と茶葉製品(リーフ)で消費される緑茶総消費量のうち、飲料製品で消費される割合」です。緑茶総消費量の約2割が,ペットボトル茶をはじめとする「ドリンク」です。
 縦棒(左目盛)は,緑茶ドリンクの市場規模をあらわしていますが,2005年をピークに,4000億円あたりで横ばいで推移していることがわかります。
 この4000億円の市場の中に,伊藤園サントリー,キリンビバレッジ,日本コカ・コーラアサヒ飲料など巨大飲料メーカーをはじめ,プライベート・ブランドなど多数の企業がひしめいています。
 新参者が成熟市場に参入し価格競争にチャレンジしていくのは,並大抵の努力ではできません。デフレですから、私たちにはかなり高いハードルです。もちろん茶農家さんにも調達コスト削減を迫ることになります。
 
 実は,私たちも,「りゅうこく茶」のペットボトル・バージョンを真剣に検討していた時期もありましたが,下記のもろもろの要因を考慮して,断念しました。
 1) 装置産業なので,最低製造ロット数の巨大さ(万単位 ! )の問題、
 2) 製造プロセスがブラックボックス,つまり私たちの関与できる場面がかなり限られてしまう問題。(発注量が少ないので,メーカーさんに香り・水色・味に注文をつけるのは困難。せいぜい茶葉の指定とフィルム製パッケージのデザインくらいか?)、
 3) 消費段階で,飲み終わったらすぐにゴミ箱に捨てられてしまう問題、廃棄・リサイクルにともなう環境負荷の問題(もちろん,リサイクル率はかなり高いです)、製造段階で,工場立地点の水を使用する問題、工場からの物流段階で,トラック輸送の環境負荷の問題、「マイ湯飲み運動」を展開する茶ECOプロジェクトのミッションと合わないという問題、
 などです。

 この検討過程で私たちが痛感したことは、ペットボトル茶は、たしかに消費者にとって「手軽」ですが、製造やリサイクルのことを考えると,全然「手軽」ではない、ということです。肝心の茶葉以外のところで莫大なお金がかかってしまう、ということもわかりました。
 
 もちろんペットボトル茶にも意義と役割はあると考えています。ですが、現時点では、「私たちが無理してやるよりは、巨大飲料メーカーが展開したほうがはるかに効率的で環境にも優しい(少なくとも「製品1単位あたりの環境負荷」は)」と考えています。...と言うとカッコいいですが、要するに「私たちにはまともにできない」ということです。日本コカ・コーラの「い・ろ・は・す」の軽量ボトルを見たときにあきらめがつきました(笑)。
 
 このプロジェクトが進行する過程で次第に「合い言葉」になってきたのが、茶畑に行くたびに南山城村の茶農家さんから何度も聞かされた
 「喉が渇いたらペットボトル茶を,心が乾いたら急須でお茶を」
という言葉です。素晴らしい言葉です !

 浸出や事後処理の時間を短縮する「利便性」の追求は、緑茶飲料の一つの大きな潮流をなしています。ティーバッグやドリップ式の緑茶も、やはり同様の「利便性」という論理にもとづいた製品だと思います。
 私たちの「りゅうこく茶」は、今後、日本社会でワーク・ライフバランス(仕事と生活の調和)が定着することを願いつつ、あえて原点回帰=「茶葉を急須で淹れる愉しみ」を追求したいと思います。
 逆説的ではありますが、「時間のない忙しい人にこそ,急須で淹れたお茶が必要なのではないか」と考えております。