フェアトレードとは何か ?

 雨はやんできました。
 ゼミ生3人は、南山城村に農作業にでかけたようですが、私は冷房のきいた部屋で「晴耕雨読」を続けます。

 個人的な読書ノートにお付き合いいただき、大変恐縮です....。



 以下は、フェアトレードの最良の入門書です。

 A.ニコルズ・C.オパル編著(北澤 肯訳) 『フェアトレード―倫理的な消費が経済を変える』 (岩波書店、2009年)。

 原題は、Market-driven Ethical Consumption,
 です(2005年刊行)。

 フェアトレードについて経済学的に考える場合、「何が・どのようにアンフェア(unfair)な貿易なのか」が大問題になります。
 そのような難問に平易に答えようとしているのがこの本です。


 フェアトレードとは何か?
 「フェアトレードの狙いは、途上国のもっとも不利な立場に置かれた生産者が、搾取ではなく相互扶助の関係のもと、市場(通常は先進国の)へのアクセスが作り出されることによって、極度の貧困から抜け出す機会を獲得することである。
 その目的は、国際的な貿易を通して、生産者が自らの事業とコミュニティを幅広く発展させるための力を付けることである。
 フェアトレードは、関わるすべての人により公平な利益を分配する革新的なサプライチェーン・モデルを通して、生産と消費をつなぎ直す、生産者と消費者の新しい関係モデルを提供する。
 それは多くの世界的な市場で現在起こっている明らかな失敗に立ち向かうことであり、南北間の供給者と需要者との関係を象徴する情報と力の圧倒的なアンバランスに取り組むということだ。」(邦訳、6-7ページ)

 フェアトレードの重要な取り決め
 (1) 「合意された最低価格(通常は市場価格より高く設定される)
 フェアトレード価格は、生産者が労働から最低生活賃金を得られるように、その地域の経済状況を考慮して決められる。
 零細生産者の場合、国際フェアトレード認証機構(FLO)は、生産コストと、家族を養う分と、生産向上のため投資分を含めてフェアトレード最低保証価格を設定している。
 もしある商品...の国際相場がこれを下回ったとしても、フェアトレードを行う輸入業者はその最低保証価格を、また市場価格が上回った場合は市場価格を支払う。
 生産コストを上回る価格を保証することで、生産者は前もって生産計画を立て、事業の将来に投資することが可能となる。
 農園労働者の場合(例えば紅茶や果物など)、フェアトレードが保証するものは、農園労働者への法的な最低賃金と、国際労働機関(ILO)の労働基準の遵守である。」(邦訳、7ページ)

 (2)「合意されたソーシャルプレミアム(社会的奨励金)の支払いによる社会発展と技術支援の重視(商品への支払額の10%かそれ以上)
 生産品に対するフェアトレード価格に上乗せして零細生産者や農園労働者に支払われるソーシャルプレミアムによって、学校建設や新しい井戸を掘るなど、より規模の大きな開発プロジェクトを共同で行うことができる。
 零細農家は通常、民主的な協同組合を組織し、その組合がフェアトレード・プレミアムをどのように使うかを決定する。
 たとえば、地域プロジェクトを行ったり、もしくは一時積み立てておいて、後に加工施設を作ったり、商品展示会へ出展したり、新製品の開発をしたりするなど、組合の事業に投資する。
 農園労働者は、ソーシャルプレミアムを受け取る組合を作る。
 ソーシャルプレミアムをどのように使うか、例えば、住宅施設や年金の基金、もしくは他の社会的投資へ使うか、などは組合員の投票で決められる。」(邦訳、8ページ)

(続く)