紅茶製造法ノート (1) 手摘み・委凋

 「紅茶班」は、5月27日〜29日に2泊3日で、国産紅茶を有機無農薬で栽培・加工する月ヶ瀬健康茶園(奈良市)にご協力いただき、紅茶づくり研修合宿を行った。
 そこで知り得た知識・ノウハウを書き記して、今後の参照基準としたい。

 紅茶製造は、委凋、揉捻、発酵、乾燥の順に進む。以下、それぞれの過程の実験・研修結果を述べる。


1. 摘採

 合宿をつうじ、ベニフウキ、ベニフジ、ベニヒカリ、ベニホマレ、ハツモミジの収穫を行った。
 今回の研修では、「紅茶品種・一番茶で最高の国産紅茶をつくろう!」という目標に向かい、機械刈りは行わず、全品種を手摘みで行った。
 手摘みによって、均一な品質の生葉を収穫することができ、白毛ゴールデンチップ)と呼ばれる、高級紅茶には欠かせない新芽もきれいに収穫することができるからだ。
 しかし、手摘みの作業は想像以上に大変であった。
 昼の炎天下の作業はかなりつらい。
 私たちの研修は2泊3日で短期間の作業だったが、農家の方々は毎日この作業をしていると考えると、私たちが当り前に消費しているモノでも、さまざまな苦労があって私たちのもとに届けられていることを忘れてはならないと感じた。

 品 種 :べにふうき
 天 気 :曇り
 気 温 :18.2℃
 摘採重量:4キログラム
 摘採方法:手摘み







2.委凋


 委凋の目的は、生葉の水分を減らし、次の揉捻を容易にすることである。
 萎凋は、紅茶作りにおいて味を決める大変重要な工程であり、しっかりと萎凋させなければならない。
 摘みとった茶葉はすでに軽い発酵が始まっており、萎凋でさらに発酵する。
 萎凋の方式には、人口萎凋と自然萎凋の2種類があるが、今回の合宿では、茶葉の量が少なかったので、自然萎凋方式で行った。
 自然萎凋は、萎凋棚と呼ばれる網状の棚に摘採した茶葉を広げ萎凋させる方法である。
 自然萎凋は、天気、気温、湿度また摘みとった葉によって萎凋時間が大きく異なり、一定に保つことが非常に困難である。このため計画的生産が行えないので、大量生産には適さない。
 自然萎凋では萎凋棚に茶葉を広げ、日陰の通気の良いところで萎凋する。日光の当たる場所に棚を置くと葉が黒く焦げてしまい味が落ちるので、直射日光の当たらない日陰に設置する。

 自然萎凋の際に大事な点が4つある。
 1点目は風。風が強いと萎凋が早くなる。
 2点目は気温。気温が高いと萎凋が早くなる。
 3点目が湿度。湿度が低いと萎凋が早くなる。適湿は60%以下。
 最後に、葉を並べる厚さ。薄く葉を並べることで萎凋が早くなる。
 以上の4点によって萎凋時間が大きく変化するので、その時々の状況で判断する必要がある。
 萎凋時間は、だいたい12時間から18時間ほどである。

 生葉散布量500〜600g/m2


 萎凋完了の判断材料として、「外観」、「香り」、「手触り」が挙げられる。
 まず「外観」であるが、茎に縦線が出てきて、葉は丸まり、芯に「白もう」が出てくる。この白もうは茶葉に芯がある証拠なので、手摘みの高級感を出している。また、この白もうのことを「ゴールデン・チップ」とも呼ぶ。
 萎凋完了時の「香り」は、リンゴの甘酸っぱい香りがする。この香りは、しおれた時の匂いで、葉を鼻に当てて嗅いでみるとすぐにわかる。
 最後に「手触り」。羊の皮手袋のような手触りになる。また葉は引っ張ってもちぎれず、茎は曲げても折れない。このとき葉を握って汁が出てきた場合、まだ萎凋が完了していないことを示すので、注意しなければならない。
 以上の点を考慮して萎凋完了の判断をする。
 萎凋が完了した葉の重量は、萎凋開始時の重量の半分より少し重くなる。萎凋率は緑茶品種で35%程度、紅茶品種で42〜45%程度の減少が望ましい。
 萎凋が終わり重量・容積が減った茶葉は、しなやかになり揉捻に適するようになる。