月ヶ瀬健康茶園で紅茶づくり研修合宿 (1日目の晩〜2日目)

 ≪5日の晩〜≫
 皆が帰った後、フランス人学生とサッカーで国際交流をしました。
 サッカーボールさえあれば、言葉がわからなくても、充分わかりあえる!と実感しました。
 その後、フランス人の男組と「月ヶ瀬温泉」に行き、疲れをとりました。
 温泉から戻ると、チホミ幹事長 & マリナさんの自信作「夏野菜カレー」を食べさせてもらい、茶摘みの疲れも吹っ飛びました !


 夕食後は、岩田家の皆さんと紅茶の試飲会をしました。
 「スリランカフェアトレード&オーガニックのウバ紅茶」、「べにひかり」、「春摘べにふうき」、「熟成べにふうき(3年物・5年物)」など、5種類ほど試飲しました。
 私たちが5月の合宿で製造した紅茶も試飲することができました !
 「べにひかり」や「春摘べにふうき」は、やや青臭みがあり、個人的には何杯も飲めるような味ではないと思いました。
 一番おいしいと感じたのは、「熟成べにふうき」でした。「春摘べにふうき」と比べると、それほどパンチのきいた味ではないのですが、青臭みがとれていて、とても飲みやすかったです。
 岩田さんやお父様は「少し青臭みの残った今年のもののほうが美味しい」
 奥様や私たちは「熟成させたほうが美味しい!」
 と、好みが分かれました。

 試飲の際、奥様からマンゴーやパイナップルのドライフルーツをいただきました。ドライフルーツの酸味が紅茶にすごくマッチしていて、美味しく紅茶をいただくことができました。


≪6日≫
 【摘採】
 翌6日は、朝6時に起床し7時から午前中いっぱい、「べにひかり」(約2キロ)と「べにほまれ」(採れるだけ)の収穫をしました。

 上の写真は「べにひかり」です。

 昼から午後にかけて、製茶工場担当(ユースケ & ダイスケ)は、前日に皆で収穫したヤブキタの萎凋が済んだので、揉捻と発酵の作業に入りました。
 製茶プロセスは5月末の合宿時と同じでしたが、条件・設定は大きく異なっていました。

 【萎凋】:
 今回は、2番茶で水分含有量が少なかったため、萎凋時間が短かったです。
 約7キロ摘んだ生葉も、萎凋させると3.3キロまで重量が減っていました。

 【揉捻】:
 前回と同様、小型・手摘み用の揉捻機を使用しました。
 緑茶品種だったため、紅茶品種の時と比べて、非常に葉に粘り気があり、握ると手にべとつく感触がありました。
 揉捻時間は80分。前回は90分でしたが、今回は、2番茶は1番茶に比べて葉が短く若葉だったので、短めに設定しました。
 揉捻開始30分後に、揉捻機の蓋を使い、少し「圧」をかけました。
 注意点は、茶葉の香りを重視するため、揉捻を若干弱めにすること。
 「圧」をかけるかどうかは、時間で決めるのではなく、茶葉の状態を見ながら決めるのがポイントです。
 揉捻中に香りを匂いでみると、とても甘い香りがしました。

 【発酵】:
 今回の発酵時間は150分でした。
 気温は32℃、発酵室内の温度は28℃に設定し、開始時の温度は29.2℃で、前回よりもかなり高めでした。
 前回と同様、発酵室に入れる前に、濡れタオルを被せました。

 デジタル温度計を用いて茶温を計測しました。研修中はもちろん手書きです。

 エクセルで書き直してみると、下記のようになります。


 【乾燥】


 約120℃の温度で加熱を行いました。
 茶葉の様子を見ながら、乾燥していない部分を裏返していきます。
 また、乾燥機には4段の棚がありますが、各棚の位置を、茶葉の状態を確かめながら、入れ替えていきます。
 一番上の棚と一番下の棚の温度差は、約10℃ぐらいです。
 乾燥後、茶葉の色は予想以上に黒くなっており、岩田さんも、
 「面白いな〜」
 とうなっていました。


 できたてのヤブキタ紅茶です!!
 ゴールデンチップ(芯芽)が一杯です♪
 出来上がり時の試飲では、発酵時に試飲した時よりも、渋さや青臭みがなくなっていて、香ばしい味がしました。
 個人的には、香りも良く、熟成紅茶の味にも近く、「最高の紅茶」ができたと思います !



 晩に、完成したヤブキタ紅茶の試飲会をしました。
とても飲みやすくて美味しかったです!
 今まで岩田さんが淹れてくれた紅茶の中で一番好きな味だと思います。
 奥様も、「この紅茶は美味しい!」とおっしゃっていました。

 6月に静岡の丸子ティーファクトリーで「緑茶・在来種」で作った紅茶も美味しかったので、自分の中では、「南山城村の緑茶品種で紅茶を作れば、面白いものができる」という思いが強くなりました。

 今後さらに修行を重ねるため、「9月末に、みなで月ヶ瀬健康茶園で紅茶試飲会をしよう !」ということになりました。




今回の合宿を通じて考えたことを下にメモ書きしておきます。
1. 熟成紅茶について
 1日目に試飲した熟成紅茶は、たしかに美味しいと感じたのですが、適温・適湿で管理し続けるのが難しく、今度は保存技術が課題となってしまいます。
 「雫」の仕上げ加工をしていただいている問屋さんに頼めば、ある程度の期間は保存可能かもしれませんが、3年後に「この条件は、失敗だった」では元も子もありません(笑)。
 「熟成すると美味しくなる」という言説そのものの科学的根拠も曖昧です。
 もし「何年も熟成させないと青臭みが消えず美味しくならない」のであれば、そもそも国産紅茶の商品性自体に問題があるとも言えます。
 また、紅茶づくりに燃えている私たちが卒業してしまうという大問題もあります(笑)。
 やはり熟成紅茶の「量産」はかなり難しいと言わざるをえません。
 ブレンドについても、「熟成紅茶とのブレンド」よりも、まずは「一番茶と二番茶とのブレンド」や「品種のブレンド」のほうを優先すべきだと考えました。


2. 緑茶品種での紅茶づくりについて
 月ヶ瀬健康茶園は有機・無農薬栽培ですが、南山城村をはじめ多くの宇治茶産地では、これまで、「宇治茶は独特の旨み・甘味があり、まろやか」を売り文句にしてきた関係上、月ヶ瀬健康茶園と比べれば「多肥」であることに違いありません。
 6月に静岡で開催された「地紅茶サミット」のシンポジウムでは、「多肥は、発酵を阻害し、香気も劣る」ということが議論されていました。
 そもそも、宇治茶は、旨味成分のアミノ酸を増やすように、苦味・渋味成分のカテキン類を減らすように栽培されますが、逆に、紅茶の発酵にとっては苦味・渋味成分がとても大切です。
 そうだとすると、紅茶にする茶畑をあらかじめ特定した上で、茶農家さんに「この畑のこの部分は、肥料を減らして栽培してほしい、収穫前にネット被覆しないでほしい」などの注文をきちんと伝えて、それを守っていただく必要があると思いました。
 この紅茶用の畑はどのくらいの広さが必要か、もう決めないといけません。広さを決めるためには、施肥が本格化する前に、「龍谷紅茶」(仮称)の栽培計画・製造計画・販売計画を決めないといけません。
 紅茶用として特化された茶畑からは、もはや、「おいしい宇治茶」を栽培・収穫することは困難です。それゆえ、茶畑の特定は、茶農家さんにリスクを背負わせることを意味します。
昨日の茶摘みの写真をみればわかるように、たった7キロの生葉を収穫するだけでも、結構な広さが必要です。「歩留まり」を考慮すると、なおさらです。

 緑茶と紅茶との「二律背反」特性を、どこで・どの程度で折り合いをつけていくのかが一番難しい問題です。

 岩田さんからいただいたアドバイスは、
 「まずは、(静岡を含め)3回の研修合宿で学んだことを整理して、
 緑茶品種でできること・できないこと(紅茶品種だからできること)、
 栽培の過程でできること・できないこと、
 摘採の過程でできること・できないこと、
 製茶の過程でできること・できないこと、
を、しっかりと峻別し分析すること」。

 この夏休みのうちに、なんらかの均衡点を見出していきたいと思います。

 3. 製茶機械について
 南山城村の緑茶品種で紅茶づくりを行う際、次に問題となるのは、製茶機械です。
 村の緑茶を使用することにこだわるのであれば、有機JAS認証条件の関係上、月ヶ瀬健康茶園の機械をお借りすることはできません。
 何か別の方法を考えないといけません。
 (1) 村の茶農家さんに頼んで、緑茶用の機械を転用する、
 (2) 転・廃業した茶農家さん等から機械を譲っていただく、
等々、機械を自力調達する必要があります。
 (1)の場合は、緑茶の繁忙期を避けて製造しないといけませんね。
 いずれにせよ、夏休み明けには、南山城村の茶農家さんに、紅茶づくりへの参加・協力の呼びかけを行う必要があります。


 4. 消費者の嗜好調査について
 「消費者の紅茶に対する嗜好」を調査する必要性を痛感していますが、香り・味など嗜好の調査は、大企業にとっても難問です。まずは飲料メーカーの経験を参考に調査法を検討していきたいと思います。
 今のところ、「紅茶好きのアラサー・アラフォー女性は、『癒し』を求めるため、香りに対する優先順位が最も高い」という仮説をもっております。
 もしこの仮説が正しいとするならば、外国産紅茶と比べて、香りの少ない国産紅茶は苦戦を強いられ「ニッチ」「地域の特産物」「健康飲料」の一つに留まることが予想されます。
 この点をどう克服していくかが大きな課題です。