『つなみ 被災地のこども80人の作文集』を読んで

 11月8日、今週の2回生のゼミでは、『つなみ 被災地のこども80人の作文集』(文藝春秋、8月号増刊、2011年8月)の感想を出し合いました。


○木村
 私より幼い被災地の子供たちひとりひとりが自分自身や周りの人達の死を身近に経験し、恐怖を感じたことが作文を読んでとても伝わってきた。
 いちばん印象に残ったことは、まだまだ震災から日にちがたっていない段階だったであるにもかかわらず、多くの子供が「前をむいて進んでいく」「げんきにやっていく」「負けません」「大丈夫です」などの前向きなことを書いていることだった。
 きっと、言葉にならないほど苦しく辛いはずなのに、日本の支援への感謝や、安心させるための大丈夫や負けませんなどの言葉を書き、今にもくじけそうな気持ちを自分で言い聞かせているようにも感じた。
 そこに、子供たちの強さを感じ、また、もっと気持ちが楽になってもらいたいと感じた。


○仲
 被災した子供たちの作文は、想像以上に津波の被害をリアルに表していた。 乏しいボキャブラリー、且つ、少なからず誤字脱字があるにも拘わらずだ。
 子供ならではの表現ともいえる擬音語は共感し得るものがあり、ニュースで見た映像とリンクすることもあった。
 文章の内容は、まさに、絶望や悲しみといった負の状態を連想させられるものであった。
 しかし、添付されていた写真は笑顔であったので、心が救われるような気持ちであった


○平井
 村上さんの「思い出あふれる町は、あとかたもない状態でした。」という言葉が印象に残りました。
 先週見た津波が去った後の光景が鮮明に浮かんできたからです。
 また、作文全体を通して、私たちにできることは、今前を向いて懸命に生きている人たちを応援すること、そしてなにより、子供たちも願っているように、震災のことを忘れないように記録を残して、次世代に受け継いでいくことが大切だと思いました。

○森川
 私は石川さんの作文が印象に残りました。
 突然の地震で家や町がめちゃくちゃになっていく恐怖や兄の安否がわからない心配がとてもよく伝わりました。
 小学3年生と幼い子が友達を亡くしたり、家を失ったりととても悲しいことばかりだと思いますが、作文の最後は、「毎日を大切にすごしていきたい」と書いていて、きっと悲しみは癒えてないと思うけど、前向きにがんばろうとしていてすごいと思いました。


○永山
 私は、高田小学校3年・石川さんの作分が印象に残りました。
 作文の中で、地震発生当時、お兄ちゃんが部活中で行方がわからない状況。その状況で、もし死んでしまっていたらという思いと、お母さんが泣いていたという文を見ただけで、悲しい場面が想像できたことで、心に突き刺さるものがありました。
 予想外のことが発生する。
 また立て続けに起きる。
 パニックに陥るかもしれない。
 しかし、震災を忘れず、教訓を大事にしたい。
 石川さんの作文に記されているように、大地震発生時は、すぐに高台に逃げるように心がけたい。
 そんなことでも、過去の経験を活かすことができる。
 最後に、お兄ちゃんが無事でよかった。


○梅木
 もっとも印象的だったのは、石川さんが書いた「電柱やたて物がドミノのように」だ。
 夜、いとこ親戚みんなで毛布一枚、懐中電灯ひとつで過ごすという厳しい状況が書かれていて、それはとても衝撃的だった。
 そして、「地震なんかおきなきゃよかったのに。」というストレートな表現でこの子の気持ちが伝わってきて、胸が痛かった。


○富田
 一番印象に残った子の作品は、佐々木さんの「失ったものと得たもの」。
 「お母さんダメかもよ。」
 このお父さんのセリフが頭からはなれません。
 娘に伝えるには辛すぎることです。
 佐々木さんはどんな風にそれをうけとめたのだろうか。
 心境などは書かれていなかったので、書きたくなかったのだと思いました。
 しかし、読み進めていくと、結果的にお母さんが無事だったので、とても安心しました。
 佐々木さんをすごいと感じたのは、最後のくくりの部分です。
 佐々木さんは、この壊滅的な状況下で、どうして自分自身が生活できているのか分かっていました。
 世界中の人々に支えられている、そしてその支えに応えられるのは被災者だけ。
 高学年の子の作品になるにつれて、自分だけではなく、周りや今後に目を向けた文章になっていて、感謝を表現したものや、「忘れないで欲しい」と願いを綴ったものがありました。


○藤本
 私が印象に残ったものは、佐々木さんの作文です。
 地震のおこった詳しい時刻から自分自身のことまで詳しく語っている。
 母を失うかも、自分自身の命が危険にさらされたというのに、今の生活を支えてくれている全ての人に感謝している。
 自分の今できることをしっかり考え、つらい心境の中、がんばろう!という気持ちが伝わってくる作文でした。


○坂本
 私は佐々木さんの作文を読んで、津波の恐ろしさを想像しました。
 地震が起きて、必死に高い所を目指して校庭を走る子供達の姿が想像できました。この時、子供たちはみんな必死でとても怖かったと思います。
 そして、佐々木さんのお父さんが「お母さんダメかもよ」と言った、と書いてるとこを読んで、とても悲しい気持ちになりました。
 佐々木さんとお父さんの心境を考えると、とても辛い気持ちになりました。 そして、お母さんが無事であったと書いてあり、ホッとしました。
 佐々木さんは、津波で様々なものを失って辛い経験をしました。
 それなのに、自衛隊や医療関係や全国の人々に感謝して生きているということが、とても強い心をもっているのだと、思いました。


○廣瀬
 佐々木さんの作文は、状況が細かく書かれていたので、読み終えるとその時の状況が頭の中で流れているようでした。
 しかし、前に見た津波の映像も合わせて考えると、実際には私の想像をはるかに超える大変な状況の中にいたんだということがわかりました。
 自分の親しい人を失ってしまうことは、考えただけでも恐いです。
 作文の最後に、
「前を向いて進んでいくこと」
という言葉はとても前向きで、その姿勢には勇気をもらえます。


○亀井
 私が最も印象に残った作文は、鈴木さんの作文です。
 彼女は、震災後、町を歩く中で、
『死体も、みてしまいました』
という表現に、震災の生々しさを感じました。
 また、『死体も』という言葉の中には、震災直後、死体以外にも現実からは想像できない唖然とする光景が町中に広がっていたのかと感じました。
 何人かの作文のなかには、震災直後、親の迎えを待つ様子が語られていて、自分以外で大事なものは、やはり家族なのだと思いました。


○桑木野
 小学生は見たことをそのまま書くので、新聞やニュースで見るよりも地震津波の様子が生々しく伝わってきました。
 私が特に印象に残ったのは、鈴木さんの作文でした。
 まだ中学一年生だったのに、大震災の恐ろしさを体験し、死体まで目撃して、
「あの日は、私にとって、一番、思い出に残ると思いました」
と書かれてありました。
 一番思い出に残る日が大震災の日なんて悲しすぎます。
 3月11日よりも思い出に残る楽しい思い出をいっぱい作ってほしい、その手助けをしたいと思いました。
 しかし、鈴木さんの作文の最後には、
「世界の人が、このことを忘れないでほしいです」
とも書かれていました。
 最近では東日本大震災の話はあまり聞かなくなりました。被災地の人は、大震災を忘れることは望んでいません。
 一人でも多くの人が東日本大震災のことを忘れないように、伝えていくことが、一番のボランティアではないかと思いました。


○小林
 「つなみ」の作文集は、涙なくして読むなんてとてもできませんでした。
 果たして、両親を亡くした及川くんのように、親の遺体が発見されたとき、「オレ、安心したよ」
と言うことが出来るだろうか。
 弟や祖母と暮らしていく環境で、自らの感情を表出しないようコントロールしてしまっているのだろうか。
 勝手な想像を膨らませてはいけないのだろうが、作文を書いてくれたみんなの、抑制されているであろう感情を考えると、涙が浮かんだ。


○松本
 小学校3年の及川君の文章は、まだまだ稚拙でしたが、勝手に想像しながら読みました。
 震災の後にこの作文をどういう気持ちで書いたんだろうとか、知っている言葉でなんとか凄さを伝えたかったのだろうとか、筆圧にも思いがこもっている気がしました。
 最後の文、
「ぼくはこんなにつなみがおそろしいとはじめてしりました」。
 僕は、というより、世界のほとんどの人が津波の恐ろしさなど知らないはずです。
 こんなに幼いころにこんなに惨い津波の恐ろしさを知ることになってしまった及川君が正直不憫でたまらない。
 僕は、及川君に教えてもらった津波の恐ろしさを肝に銘じて生きてゆきたいです。
 世界の人々も肝に銘じて生きてゆくべきです。


○中野
 震災のときの状況が鮮明に書かれているので、思い出しながら文にして書くのはとても辛かっただろうなと思いました。
 及川くんは、父を亡くし母は行方不明と書かれていますが、作文には書いていません。
 補足を読んだ後、読み返してみると、また違う思いがこみ上げてきました。
 本当に辛かったことは書けなかったのかもしれないし、「まつの木も一本だけのこって」という文に、全ての思いを込めたのかもしれないと思いました。
 この作文集全体を通して、前向きな言葉があったので、読んで良かったなと思いました。

○藤塚
 地震が起きた時の心情がすごく伝わったように感じました。
 どの作文もきれいな言葉ではなく、その時の話した内容や自信の気持ちをそのまま書いていて、いかに地震が起きている時こわかったか、家族か迎えにこなくて不安になったか、津波がすごかったか、リアルが作文から読みとれた。 とくに及川くんの
「どんな津波からも守る堤防をつくる」
という夢には考えさせられるものがあり、様々な現実や自然の定理をなげだして応援してあげたいと思った。


○藤原
 被災者の子どもたちが実際に体験したこと感じたことが書かれたこの作文を通し、津波の恐ろしさをまたさらに痛感した。
 そして、私たちに向けているかのような前向きな姿勢を見せる言葉や、まず高台に逃げることの大切さを教えてもらった。
 照井くんの作文では、"時間"の早さの捉え方に、普段通りでないその時の不安さが表れているように思った。
 松野くんの作文では「ゴゴゴゴー」という音がどれほど大きな地震だったのかを感じさせ、最後の「お母さん、むかえにこないかなー」という言葉にはどんな想いが詰められているのか、ここで作文は終わってしまっているので、まだむかえを待っているのかもしれない、そう考えると複雑な気持ちになった。


○大村
 この文集はじっくり読むことは僕にはできなかった。
 さっと読んだだけでも、そのときの高台に向かって逃げる様子や津波で流されたあとの凄惨さが小学生の文からも伝わってきて、心がしめつけられる思いだった。
 それと対比するように、表紙の子供たちが笑っているのがとても印象的だった。