「米粉麺に最適な緑茶の品質と加工法」の研究を進めています

 今年4月以降、伊達研究室では、「農業の6次産業化(高付加価値化)」を視野にいれながら、「米粉麺に最適な緑茶の品質・加工法」の研究を進めています。
 米粉麺側からアプローチするグループと、緑茶側からアプローチするグループとに分かれて、悪戦苦闘中です。
 具体的には、麺切れ、水分量、つなぎ、製麺法のちがい(押出式とロール式)、加熱による緑茶の変色、「クロレラは絶対に入れたくない!」、「お茶の味・香りをだしたい!」、緑茶の粉砕法のちがい(ボールミルと石臼)、そして最終的にはコストのちがい...などの難題に直「麺」し「茶レンジ」しています(笑)。


 経済学を学ぶ私たちにとっては、「コスト面との両立」、「農業補助金に頼らない事業設計のあり方」、「農家の高付加価値化や所得上昇につながるのか」、「地域内経済循環の活性化につながるか」などがメインの課題となります。

 より根本的には、以下のような問題を考えられるようになりたいです。

 まず、米粉の側。国の「新規需要米の生産拡大」政策や「農業の6次産業化」政策の後押しにより、数年前から多くの農家が米粉に取り組んできましたが、「より多くの補助金の獲得手段としての米粉」、「主食用米の生産量削減の手段としての米粉」、「小麦粉の代用品としての米粉」という消極的な位置づけでは、米粉の未来(市場拡大)は厳しいのではないか、そもそも美味しい米粉加工品はできないのではないかという仮説をもっております。


 緑茶側で問題となるのは、次のような事柄です。「宇治抹茶いり◯◯」という名の食品や飲料がスーパーやコンビニに数多く、しかも格安で売られていますが、それに対応して、宇治茶の主産地の茶畑も「真っ黒い化学繊維の寒冷紗だらけ」になっているように見えます。
 「夏も近づく八十八夜」がすぎて摘採が本格化する時期、宇治茶の茶畑は、緑色から黒に変わります(これも現代の「生業の景観」の一つなのでしょう)。
 このゼミブログの「日誌」の記録をご覧いただければよくわかるように、茶畑でのゼミ生たちの作業の多くは、ネットかけては外す作業に費やされています。
 上記のことは、宇治茶の生産家の経営基盤に何をもたらしているのでしょうか。この行き方(食品・飲料メーカー主導の展開)は、宇治茶の未来を見すえた時に、サステナブルなのでしょうか。
 「宇治茶独特の伝統的な覆い下栽培法」という一言で済ますことのできない構造的な問題が横たわっているように思います。

 米粉の問題も宇治茶の問題も、すぐには答えの出ない難問ばかりですが、一度、生産者と同じ目線に立ってみた上で、評論家的ではない、私たちなりの見解を模索したいと考えております。



 関西で「緑茶いり米粉麺の研究開発」に熱心な企業が集積している地域は、滋賀県です。朝宮茶や土山茶の産地です。
 米粉麺の製造機器を取り扱う(株)東洋商会様、米粉麺の製造・販売を展開する農業法人(有)甲賀もち工房様、緑茶や抹茶ペーストの製造を手がける(株)日本緑茶様にご協力をいただき、現在、知識・ノウハウをご教示いただいております。



 また、宇治茶の産地・京都府山城地域には、飲用だけではなく食品加工用の緑茶も製造する企業がたくさんあります。特に、石臼挽きの分野では優れた技術力と生産規模を有しています。
 現在、(株)碧翆園様と(株)香岳園製茶様にヒアリングをさせていただいております。



 実験・試作用の米粉麺は、岩手県陸前高田市のひころいちファーム様にご協力いただき、同社自慢の「十割 米粉麺」を使用させていただいております。
 「十割」米粉麺、しかも生麺タイプなので、私たちにとっては、超えなければならないハードルがものすごく高くなってしまいますが、がんばります ! 




 お茶は、麺類だけではなく、洋菓子、和菓子、乳製品、飲料品と、どんなジャンルにも入っていくことができるすぐれた素材です。これまでは、デフレの影響をもろに受け価格下落に悩まされていますが、本来は、機能性も高く、可能性に満ちあふれた素材だと思います。

 私たちの研究によって、お茶が「魔法の粉」となり、被災地の復興に少しでもつながるように、研究室一同、誠心誠意、とり組んでいきたいと思っています !


 今後、このブログでも進捗状況をお知らせしていきます。ぜひ、皆様のご指導・ご鞭撻をお願いいたします!