陸前高田合宿 (6) 鶴亀鮨と仮設住宅

佐々木

 今回、初めて陸前高田を訪れましたが、実際に行ってみて初めて分かることが多くありました。
 走っている車も車体の下部分が泥まみれになっていました。
 仮設住宅の高台から見た景色は、瓦礫だけが撤去されただけで、2年10ヶ月が経った今でも町は復旧しておらず、津波に流されずに残った建物2,3件のみが残っていただけでした。

 最近、被災地の報道を目にすることがなくなっていたため、もう新しい建物が少しずつできあがってきて以前の街並みが戻ってきているものだと想像していました。
 しかし、実際は、震災当時とほとんど変化がなく停滞している状態で、大変驚きました。


 鶴亀鮨の店主・阿部和明さんには大変お世話になりました。
 仮設住宅で手巻き寿司パーティをするために、酢飯や新鮮な刺身を安価で大量に提供していただいたり、海苔の使い方、衛生面での指導、刺身の管理方法、現地のお醤油など教えていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
 おかげさまで、2日間とも、手巻き寿司パーティは成功することができました。


 また、準備作業の最中、阿部さんは私たちに震災時のお話をDVDの映像と共にも話してくださいました。
 「地震が起きた瞬間は、津波が来るなんて思いもしなかった。
 しばらくして、大津波警報がでてからやっと、逃げなければと思い、避難。
 その時、あるおばあさんの見回り担当になっていたので心配になり、避難場所より高い位置にあったおばあさんを訪ねた。
 だから津波から逃れることができた。
 もし、そのまま避難場所にいたら、間違いなく自分は流されていた。
 もし最初から津波が迫ってきていることを知っていたら、パニックになっていて、おばあさんの見回りに行けていなかった。
 本当に自分は運が良かった」
と話してくださいました。


 阿部さんがふと話してくださった、2020年東京オリンピック被災地復興の話が大変印象に残りました。
 2020年のオリンピックが東京で開催されることが決定され、東京にスタジアムを建設することも同時に決定されました。
 しかし、これにともない、予定されていた復興工事に変更が生じているという。
 「建設資材が高騰する」と、阿部さんは不安を話してくださいました。
 東京オリンピックの開催決定によって、被災地ではこのような問題が起きていることに驚きました。
 阿部さんのお話が聞けて本当に良かったです。


 高田一中の仮設住宅で行った、手巻き寿司パーティー、バレンタインチョコ作り、体操はどれも成功で、来ていただいたたくさんの方々が楽しんでくれて本当に良かったです。
 陸前高田の方が普段なかなかできないことを一緒に楽しめたら良いなということで、今回やった手巻き寿司でしたが、訪れたみなさんが、
「手巻き寿司をするのなんて久しぶり」、
「作るのも楽しいけど、たくさんの人と一緒に食べられて嬉しい」、
「楽しみに待っていました」
と言っていただけたので、本当にやってよかったと思いました。

 「つらいこともあったけど、今こうやってあなた達と一緒に笑ってお寿司が食べられて、私たちは満足です、ありがとう」
と言っていただけで本当にうれしかったです。

 2日目には、顔を覚えてくれ名前で呼んでくださる方や、陸前高田の方言を教えてもらったり、子供たちに白鳥の場所に連れて行ってもらったり、伊達ゼミに感謝のお手紙もいただいたりと、楽しい2日間でした。


 最後に行った車屋酒場でも、たくさんのお話をお聞きしました。
 津波から逃げる際中に、仲間の家族を助けることが出来なかった話や、今でもたまに震災の日の夢を見ることがあるという辛い話。
 その一方で、息子の成長や今後の陸前高田の展望について熱く語る方もおられ、終始笑顔が絶えない時間でした。

 居合わせたお客さんの中には以下のことを言われた方がいました。

「つらい出来事があったのは事実だし、それを忘れることや無しに考えて生きていくことはできない。
 ベースは変わらない。
 でも、いつまでも後ろばっかり見ていてもダメだし、前を向かなくちゃ。
 俺たちも頑張るから、君たちも頑張ってな。
 またお互いの話しような。」

 本当にいい時間を過ごせたと感じました。

 陸前高田を訪れるまで、私は新聞やニュースでしか被災地の情報を見ておらず、しかもそれだけで被災地のことを知ったような気でいました。
 しかし、今回のゼミ合宿で実際に被災地に訪れてみて、初めてわかることがほとんどでした。

 それと同時に、私たちができることはすごく限られていると感じました。
 少しでも震災時の辛さを忘れられるような楽しい時間を一緒に過ごしたり、話を聞いて思いを共有したり、一瞬でも多く笑顔になれるようなことを行っていくこと。
 そしてこれらを“継続していく”ということが、伊達ゼミが今後も続けていくべきことだと、今回の合宿を通して思いました。
(文責:佐々木)