陸前高田合宿 (9) 「震災から3年」

 平尾
 今回のゼミ合宿でゼミ生を大きく二つに班分けし、漁業支援班と仮設住宅近くの集会所でのパーティ開催班に分かれて活動を行いました。

 私は、後者のパーティ開催の班を担当し、高田市立第一中学校の仮設住宅の集会所を訪れ、鶴亀鮨さんの協力のもと、巻き寿司と飾り巻き寿司を皆で作って食べるパーティと、バレンタインが近かったこともあってチョコレート作りコーナーも設置しました。

 来て頂いた皆さん、私達の説明を手本に、巻き寿司や飾り巻き寿司をって食べてもらいましたが、
「おおぜいで作って食べるご飯は美味しい!」
と言って下さる方。

「あなたもいっぱい食べなさい!」
と、巻き寿司を作って私に食べさせてださるる方もいらっしゃました。


(おばあちゃんに握ってもらった仮面ライダーの飾り巻き!!)


 最後の日には、大坂写真館さんの協力で、記念の集合写真を撮ることもできました。

 集会所の中が笑い声や笑顔でいっぱいになった時は、本当に感無量というか、皆で練った甲斐があったなと思えるようなイベントを提供できたことが、本当にうれしかった。

 小学生から中学生もたくさん来てくれていて、最初はゲームをして遊んでいた子も、話しているうちに手巻き寿司やチョコにも興味を持ってくれるようになりました。

 中には、
「○○にチョコあげるんだ」とニコニコしながら作っている子もいました。

 チョコ作りの後は、子供達と外でかくれんぼをしたり、かまくらを一緒に作ったりして、本当に仲良くしてもらいました。


 そんなイベントを通じて心を開いてくれたからこそ、話して頂けたことも多くあって、話すのも辛いはずの震災当時の話をして下さる方もいました。
 震災から約三年経った今でもその記憶は鮮明に残っていて、TVや雑誌などでは決して聞くことのできない「その時」の話を多く聞かせて頂きました。

 それだけ鮮明に残るほど記憶に刻み付けられている悲しい出来事を抱えながらも、こうして隣に座って巻き寿司を食べながら笑って私たちに接して下さる方々の強さと優しさに、深く感謝の気持ちを抱きました。



 私たちが宿泊させて頂いた鈴木旅館さん、市立第一中学校・仮設住宅、手巻き寿司イベントに協力して頂き2日目の晩御飯の場所も提供して頂いた鶴亀鮨さん、要谷漁港のエゾイシカゲ貝、3日目の晩御飯の場所を提供して頂いた車屋酒場さん、イベントの買い出しをしたスーパーMAIYA。
 これらの移動には、徒歩とBRTバスを利用しました。


(大雪のなか、高田一中仮設からスーパーマイヤ方面へ移動)


 その道中で私たちが見たのは海まで続く建造物も何もない更地や、途中で壊れた橋、また一時期TVで有名になっていた一本松でした。


 とくに、伊達先生に連れて行ってもらった高田一中へと続く坂を下りていった先の、当時は住宅やお店が立ち並んでいたという市街地を見て、正直愕然としてしまいました。

 確かに、遠くの山には、削った土を運ぶためのベルトコンベアーも建造されていたり、住宅地を造るための土が仮置きされていたりもします。

 それらは、現地の人々にとって、「希望の兆し」なのかもしれません。
 その活動に尽力する方々の努力を軽んじる気はありません。
 それでも、私の目には、お世辞にも、「復興」の二文字を思い描けるような景色には見えなくて、ただ茫漠として何もない土地が広がっているだけに見えてしまいました。

 正直、私はこの伊達ゼミに入って、震災に関する文献を読んだり、それをゼミ生皆で話し合って、実際の映像を見て、それだけで何か違ったことをしている自分に満足していたような気がします。
 でもそんなことはなかった。
何もわかっていませんでした。


 メディアでいわれる「震災から三年」。

 その言葉に何も意味はないということがわかりました。
 それは、世間が忘れてはならない記憶として、指折り数えるだけの数字でしかなくて、「復興が進んでいます」というのは、ほんの一握りの地域を映しているだけでした。


 震災にあった人たちにとって、震災は昨日のことかのように襲いかかってくる。
 当時の話をしてくれたおばあちゃんは、
「今でも時々、夜中にふと目を覚ましてしまうことがある」
言ってくれました。

 帰り際に、
「今日はありがとうございました」
と手を握ると、
「温かい、この温もりは忘れないよ」
と言ってくれました。
 その言葉は本当に嬉しかったし、それだけのことを成し遂げることができたんだなと誇る気持ちもありました。

 それでもやっぱり、
「まだ何かできることはないのかな」
と、悔しく思ってしまいます。
 とても不甲斐ない話ですが、今回の合宿は、私たちから与えるというより、現地の方々から頂いたもののほうが多いと感じています。
 あの温かい歓迎や協力がなければ、きっと私たちのイベントもできなかったです。

 「恩を返す」と言ったら少し変になりますが、この初めてのゼミ合宿で得た経験と頂いたご厚意に少しでも報いることができるような活動をしていきたい。
 そう感じました。
(文責:平尾)