陸前高田合宿 (11) 「また会いに行きます」

作本
 2月7日から東日本大震災によって大きな被害を受けた被災地のひとつ、岩手県陸前高田市にいってきました。

 初めて見た感想は、空気が重いと感じました。
 道路はダンプカーがほとんどで、いたるところで工事が行われていました。
 トラックによる排気ガスや工事により空気が埃っぽく、何台ものトラックが行き来しています。
 歩道もない道路も多く、いつ車やトラックに接触してもおかしくない状況でした。

 津波の被害を受けた市街地は、約3年経った今でも何も変わらず、まったく復興が進んでいる様子ではありませんでした。
 周りでは土を一か所に集めていました。
 人通りはありません。
 電車の線路が津波によって流されたため、BRTというバスを利用しています。
 津波の爪痕はひどく、コンクリートの橋が流されており、前に家があった場所にはお花が置いてあったりと、胸を締め付けられる思いでした。



 8日と9日は漁業班と仮設住宅班に分かれて、現地の人々と触れ合いました。
 私は仮設住宅班にまわり、高田第一中学校の仮設住宅で巻き寿司パーティーと、バレンタインが近いこともありチョコレート作りを企画しました。
 手巻き寿司では、現地の鶴亀さんにお手伝いしていただき、酢飯や海鮮を提供していただきました。
 鶴亀さんも津波の被害にあったお店でした。



 8日は、初めての事でもあり、とてもバタバタで、何をしゃべっていいのかもわからず、不安を抱えながらパーティーを開始しました。
 しかし、始まった瞬間、不安はなくなりました。
 たくさんの方々が、
「楽しみにしてたのよ」
といって来てくださったのです。
 集会場は、広くはなく、6人程度で囲むテーブルが5つほど置けるだけです。
 開始してすぐ、席はほとんどなく、満席状態でした。
 私も、来てくださった方々とお話ししていました。
 そこで出会った方の中には、震災の日、高熱にうなされていた子や、家族や親せき、友達を亡くした方もいらっしゃいました。
 その話を聞いた時、どう声をかけていいかまったくわかりませんでした。
 私たちにはわからないほどの苦しみをあじわっているのです。
 しかし、お話をしてくださった方は、
「・・・でも、今ではこんなに元気にしている」とか、
「あの時はつらかったけど、今はあなた達に出会えてよかった」
など、前向きな言葉がたくさん飛び交っていたのです。
 そのとき、私は、被災者の方々はみんなで支えあって過ごしているのだと気づきました。
 辛いときにはその苦しさを、悲しいときにはその悲しさを、また、楽しい、うれしいときにはその喜びを一人ではなく一緒に感じているのだと思いました。


 そのあとも、一緒に手巻き寿司を食べながら、おばあちゃんたちの若いときの話や、陸前高田の海・山・景色がいいところ、食べ物がおしいところなど、たくさんの話をして楽しい時間を過ごしました。
 帰り際、
「お時間よかったら、またぜひ明日も来てください!」
というと、
「あなたに会いに来るね」
と言って帰って行かれました。



 2日目は大雪でした。
 こんなにも雪が積もったところを見たことがないほど深かったです。
 そんな大雪のなかでも足を運んで来てくださる方はたくさんいました。
 昨日、「あなたに会いに来るね」と言ってくださったかたが、
「会いに来たよ」
といって来てくださったのは、本当にうれしかったです。

 仮設住宅での生活はとてもつまらないそうです。
 買い物に行くのにタクシーを使い、お風呂はとても寒いので鈴木旅館の温泉に行く方も少なくないそうです。
 周りには行くところもなく、ただ家にいるだけの生活はとても苦しそうでした。
 しかし、私たちが企画したパーティーによって楽しい時間を過ごせるといって2日間足を運んで来てくださいました。


 2日目は、1日目に比べてチョコレート作りをされる方が多かったです。
 子供だけではなく、おばあちゃんも「作りたい」といって声をかけてくださいました。
 バレンタインも近いのでそのせいかと思いましたが、違いました。
 「何事にも挑戦したくて、してみようかと思った」とおっしゃっていました。
 今までたくさんの経験をしてきたのに、まだたくさんやりたいことがあるそうです。
 お菓子作りだけではなく、英語をならってみたり、たくさんの地域に行ってみたいとも言っていました。
 心の底から、素晴らしい生き方だなと感じました。
 たくさんつらい経験もしてきた中で、それでもいろんなことに挑戦して自分の人生を悔いの残らないよう過ごしている。
 震災があって、大きな被害を受けて、これからどうすればいいか分からなくなっても、今できる限り精一杯生きる。
 そんな姿がとっても格好よく見えました。



 最後に、授業中にDVDでみた大阪写真館の大阪さんに、仮設住宅の方々と記念写真を撮っていただきました。
 来てくださった方はみんな笑顔で、明るく前を向いていました。
 最後、帰るとき、
「来てくれてよかった」
「出会えてよかった」
「また会いに来てね」
「それまで元気でいないとね」
などと、たくさんの声をかけてくださいました。
 このとき初めて、
「私たちがしたことはよかったのだ」
と思いました。



 今回、被災地に行って、私の中で何かが変わったような気がします。
 たくさんの悲しみを知り、たくさんの辛さを知り、またたくさんの笑顔があり、強い心を持っていることも知りました。


 鶴亀さんがこういっていたそうです。
「頑張ってください」ではなく「頑張ってますね」と声をかけてくださいと。
 わたしが直接みても、
 多くの人たちはがんばっています。
 前を向いています。
 どんなに辛いことがあっても、今そこにはたくさんの笑顔があります。


 今の被災地の現状知って、自分の肌で感じて、今の私たちには何ができるでしょうか。
 たくさんの方々の笑顔を引き出せることができるかもしれません。
 話を聞くこともできるかもしれません。


 でも、まだ復興全然進んでいません。
 まずは、この今の東北の状況をたくさんの人々に伝えるべきです。
 もっともっとたくさんの人に知っていただき、すこしでも早く復興が進んでほしいと思います。

 そしてまた会いに行きたいです。

(文責:作本)