岩手の牡蠣

 ここ何回かの3回生ゼミでは、夏の陸前高田合宿の準備のために、震災前後の岩手県のカキ養殖について学んでいます。広田湾でエゾイシカゲ貝の養殖を営む漁師さんは、カキ養殖も兼営しているからです。

 なにしろ、そもそもカキを食べたことのない学生もいるわで、最初は「場外ファウル」(的はずれ)の連続。私自身も、震災後に広田湾のカキを食べさせてもらう前までは、カキほど嫌いなものはありませんでした(子供の頃に食べたカキが不味かった経験がすりこまれてるんだと思います)。

 とはいえ、広島出身の、カキに詳しいゼミ生もいるので、広島県産カキと岩手県産カキ、宮城県産カキとの比較など、私自身、興味深く勉強させてもらっています。
 震災とカキ養殖について、一番参考にさせていただいたのは、陸前高田のお隣、気仙沼市舞根でカキ養殖を営む畠山重篤さんの映像と著書でした。「森は海の恋人」活動の提唱者として著名な方です。

 まずは、生産データを用いて、岩手県の主要なカキ産地を示します。

 表 岩手県・市町村別の殻つきカキ生産量 (トン)

(出所) 農林水産省


 では、東京都中央卸売市場(築地市場)の統計データを中心に、調べてわかってきたことを少しずつアップしていきます。
築地市場における岩手県産「殻つきカキ」の取扱数量 (キロ) 2005年〜14年

(注) データは2005年以降のみ公表。2014年は5月末時点。
(出所) 東京都中央卸売市場


築地市場における岩手県産「むき身カキ」の取扱数量 (キロ) 2005年〜2014年

(注) 2014年は5月末時点。
(出所) 東京都中央卸売市場


 カキにはシーズンがありますので、前年や前々年の同月の数字と比べる(季節調整)必要があります。
 震災前の取扱数量と比べるには、2005年〜2009年のうち3年間平均または5年間平均をとるのがよいと思います。2010年にはチリ地震津波があり、広田湾や大船渡湾の養殖設備に大きな被害がでたからです。


築地市場における岩手県産・宮城県産「殻つきカキ」の市場シェア (%)

(注) 市場シェアは、取扱数量ベース。
(出所) 東京都中央卸売市場


岩手県宮城県の復興状況を比較するために、宮城県産のデータも参考として掲げます。
震災前、宮城県は「むき身カキ」の生産地帯で、岩手県に比べて「殻つきカキ」の出荷量は少なかったことがわかります。
震災後は、「殻つきカキ」に比重をシフトさせているのでしょうか?



築地市場における「むき身カキ」の取扱数量 (トン) 岩手・宮城・広島・兵庫 

(出所) 東京都中央卸売市場


震災後、広島県産、兵庫県産の出荷が増えていることがわかります。


 上の表を見て、すぐにわかることは、
岩手県のカキ養殖は、まだ、ぜんぜん復興していない」
ということです。
 
 今シーズン、とくに10月〜12月の出荷動向を注視していく必要があります。