陸前高田合宿レポート (8)〜仮設住宅

渡辺 (3回生)

 2月に続いて2回目の訪問。
 前回訪れた時には、山を切り崩して土砂を運ぶための大きなベルトコンベアが「奇跡の1本松」の前にあることや、震災から3年経っても、土地のかさ上げは行われておらず、何もない市街地の状況を目の当たりにしました。
 半年が経ち、復興は進んでいるのか不安に思いながら、陸前高田行の高速バスに乗って向かっていると、前回よりもベルトコンベアの数が増えていることに驚きました。見た目は大きな工場のよう。

 ベルトコンベアが何本も必要なのは、少しでも早く住宅を建てるために山を切り崩し宅地を造成して、その切り崩した土で市街地のかさ上げ工事を行うためです。
 「奇跡の1本松」がある場所の周辺に土が盛られて、土砂の運搬については、少しずつ進んでいるのが確認できました。
 しかし、仮設住宅がある方向に進んでみると、前回と変わらない場所もありました。
 商店街をつくるためには、広大な面積をかさ上げしなければなりません。
 復興への道のりはまだ遠いと感じられます。

 宅地造成のために山を切り崩していますが、森林を伐採しながらの作業になるので、とても時間がかかります。木を切ることによって、土砂崩れが起こる可能性が高まるかもしれません。土砂災害予防のための調査も必要だと感じました。


仮設住宅の皆さんとカラオケ大会
 少しずつ陸前高田の状況が変わりつつあるのを感じた一日目を終えて、二日目は、鈴木旅館さんに協力していただき、カラオケ大会を行いました。
 急きょマツケンサンバを踊ることになったのですが、はたして、歌って踊れるのだろうかと不安でした。
 いよいよ仮設住宅の皆さんを乗せたバスが到着。
 「楽しみにしてたよー」、
 「ありがとねー」
 僕たちの企画を楽しみにしてくださっている嬉しさと、「楽しんでもらいたい」と、やる気がみなぎってきた。

 旅館の階段で、落ちないか不安そうに見ている僕を、
「ありがとねー。でも、まだまだ元気よー」
とおっしゃりながら笑って上がっていく姿を見て、緊張がほぐれた。


 全員が会場に入り、問題発生。
 数少ないイスを譲り合っていた。
 足の悪い方は畳に座れない。もっと話し合いを重ねておくべきだったと言える。

 でも、鈴木旅館のおかげで、すぐにイスの準備はできた。急なお願いだったのにも関わらず、すぐに対応していただき、ありがとうございました。


 馬場君と池田さんの司会でカラオケ大会が始まり、カスタネットやタンバリンで歌い手に声援をおくりながら、和やかなムードで進んでいった。

♬ そのうち なんとか なるだろう〜 ♬


♫ あなたと二人 この町で ♬

♫ きっと きっと きっと つかむわ 幸せを〜 ♫




 横にいらっしゃったAさん。
 静かに座り、歌っている方を見て、手拍子を送っている。
 「みんなうまいよねぇ。どこかで練習してるのかしら。私は全然カラオケしないからねぇ。」
 
 「せっかく来ていただいたので、1曲歌ってくださいませんか。もしよかったら、僕もサポートしますよ、音痴ですが」
と言ってみた。
 笑いながら、
 「うーん、一緒に歌ってくれるのなら、やってみようかしら。」
 そう言いながら、カラオケ本を開けてくださった。
 一緒に歌える曲を探していると、
 「そういえば私、この前、手話で『世界に一つだけの花』をしたの。歌える?」
とおっしゃられた。
 「はい、一緒に歌ってください。」
 いよいよ出番。

 歌い終わった後に、
 「実は2番は知らなかったのよ。」
 「ちゃんと、歌えてましたよ〜。ありがとうございました」
 楽しそうな笑顔が見れて、何より嬉しかった。

 そこから、島根県に行った話や、お孫さんの話を聞かせていただいた。
 「孫がクラブで忙しいので、私は、クラブの送り迎えをしているの。」
 お孫さんに会えるのがとてもうれしいご様子。
 
 旦那さんは、昔は寿司職人で、美味しいお寿司を握っていらした。
 でも、3月11日にお店は流されてしまった。
 「今はやっていない」。
 「私も知ってる。美味しかったんよー」
と、隣に座っていた方がおっしゃられるのを聞いて、評判店だったことがわかった。
 弟さんがお蕎麦を打っていて、お誘いをいただいた。
 次回は是非、行ってみたいです。



 いよいよ僕たちのマツケンサンバの登場。
 白いテカテカのスーツに、頭はちょんまげ。
 いかにも怪しい格好で、はたしておばあちゃんたにウケるのか、心配だった。
 歌は音痴で、ダンスはほとんどやったことのない僕にできることは、必死で踊って歌うことだけ。
 いざステージに出ていくと、皆さん笑顔で、タンバリンや手拍子で僕に声援を送ってくださり、一緒に口ずさんでくださる方もいました。

 オレ !


 続いては、踊りの会のみなさんの「シナの夜」の披露。
 ゆっくりと優雅な音楽に合わせて、大きな扇子を使った踊りは、美しかったです。

 最後に、僕の方を向いて、決めポーズをしていただき、心が通い合った気がして、うれしかった。

 高田音頭も教えていただきました。
 「はい、うでシュッ、」
 横で教えていただき、真似をしながらやってみる。
 すると、最後は踊れるようになりました。
 「今度来た時まで覚えておいて、一緒に踊ってね。」
 ぜひお祭りで、たくさんの人と輪になって踊りたいです。


 お風呂の前に、お茶っこタイム。
 僕たちのために差し入れを持ってきてくださいました。ゼミ生みんなで美味しくいただきました。ありがとうございました。

 仮設での暮らしの様子を教えてくださいました。
 「最近は、イスに座って3つのチャンネルを見てるだけだよ。柱の角に背中を合わせて、動かずボーとしてる毎日だよ。だから、こうやってイベントを開いてくれて本当にうれしい。ありがとう。」
 バス停が遠く、車も運転ができないおばあちゃんにとっては、遠くへ出かけることは難しい。
 いつもの生活から少し離れて、楽しい時間と空間を作れたのではないかと感じました。
 僕たちには、おばあちゃんたちの生活を変えることはできません。
 でも、少しの時間だけでも震災のことを忘れて、楽しい時間を過ごしてもらえることはできるのかもしれない。
 これからも、一緒に笑い、少しでも笑顔でいられる時間を、後輩たちとも協力して作っていきたいです。


 夜は、気仙茶の会の皆様が、僕たちのために歓迎会を催してくださいました。
 新鮮な秋刀魚のお刺身。
 BBQの網の上では、大きな秋刀魚やホタテ。
 盛大なおもてなしで、僕たちを歓迎してくださった。
 あんなに肉厚なホタテを食べたことがなく、お腹いっぱいに新鮮な魚介類を食べられる機会はないので、みんな取り合いをしながら食べました。


 次の日には、ゼミ生全員分のリンゴをくださった。
 堂々とした大きなリンゴ。
 甘さが詰まっていて、とても美味しかったです。

 菊池司会長さんをはじめ、気仙茶の会の皆さん、ありがとうございました。