陸前高田合宿レポート (16)〜エゾイシカゲ貝と米崎りんご

松本(4回生)
 3度目となった陸前高田合宿。
 気仙茶の会や漁師の方々と、1年ぶりの再会にも関わらず、
「じゃあ、きょうは〜、あれとこれをやろう!」
という調子で作業が進んでいく。

 簡単な挨拶だけど、回数を重ねることの重要性、伊達ゼミとしての結びつきを強く感じた。

 何気ない会話や陸前高田を案内して頂く機会を通じても、「いっしょの時間を過ごした」と感じられるような滞在だった。

 ハマのY夫婦から、
「今日は泊まってけ !」
という言葉を頂戴した。

 「伊達ゼミと『陸前高田被災者』との関係」から、「一個人と一個人との関係」へ。
 「ボランティア」という言葉では決して表すことのできない関係へ。
そんな関係が始まろうとしているのではないか、と感じた合宿だった。


(1) エゾイシカゲガイ
 長部漁港には作業用テントが2つ、作業小屋が1つ、漁船が3隻。
 道路は、アスファルト舗装はされていないものの、砂利を平に押し固めているので、車でも走りやすい。
 以前の要谷漁港よりも施設が整っている印象を受けた。

 永山・森川ペアはOさんグループで、松本・桑木野ペアは、Y夫婦グループでお手伝いをさせていただいた。
 ゼミ生を含め13人体制で、たらい洗い、たらいに土を詰める作業を行った。
 この日は、54個×2パレット、これらを女性陣が担当しているところにハマのおかあさんのたくましさを感じる。

 僕は1パレット分の土を盛り終えた時点で既にバテバテだったが、おかあさんたちは、時折、冗談やおしゃべりをおり混ぜつつ、楽しそうに作業をされていた。


 今回と前回との最大の違いは、出荷作業が加わったこと。

 ぴかぴかの発泡スチロールに厚手のビニール袋を嵌め、エゾイシカゲガイと海水を入れる。

 貝は1箱に5kg、1日に100箱出荷される。
 うち、9割が東京築地市場向け。


 気になるエゾイシカゲガイはというと、稚貝だった頃とは見違えるほど成長しており、今では1粒約80グラムを超える。
 貝の大きさはトリガイと同じほどだが、身の詰まりが違う。


 大きくなったので、特有の甘みと歯ごたえは、より強力になっていた。

 津波で施設の流失、海中環境の変化、復興工事による悪化などの困難を乗り越えての初出荷。

 発泡スチロールをテープで巻く。
 感無量です。

 自然と笑顔になっていました。



 仕掛けづくり


(2) Oさんによる陸前高田案内
 2日目の午後は、Oさんの案内で陸前高田大船渡の市内を案内していただいた。
 一か所目は箱根山
 標高477メートル、陸前高田の東に位置し、市の陸前高田市大船渡市を一望することができた。

 広田湾は広く浅く南東向きなので津波をもろに受けたこと、はるか遠くの鈴木旅館の手前まで津波が及んだこと、モビリア(オートキャンプ場)は浮島になったこと、Oさんのお話を聞きながら景色を見渡した。
 「10年後の街がどう変わるか検討もつかない」とOさんはおっしゃっていたが、私も全く同じ気持ちだった。

 その後、大船渡碁石海岸、元職場のサケ養殖場を案内していただきながら、まもなく社会に出る私たちのために、社会人としてのアドバイスをいただいた。
 「学生のうちは、試験という形で自分を出す機会が与えられている。それはそれで大切なことだ。でも、試験のない社会において大切なのは、それを自ら出していく力だ。東京に飛び出しての大工生活、サケ養殖場での経験も無鉄砲だったけど、努力すればなんとかなるもんだ」
 就職の話の脈絡でアドバイスをいただいたが、Oさんの生き様を感じた。
 「なんとかなる」と信じているから故郷で漁業を諦めなかった。
 復興の原動力を感じた。

 国の「がんばる養殖支援事業」を利用しての漁業再開については、「当初は不安が大きく、出費も心配もあったけれど、なんとかなった。実行してよかったと思っている」とおっしゃっていた。


(3)米崎りんごと歓迎会(by 気仙茶の会)
 まずは、菊池会長のりんご畑に防風網を張る作業。

 高さ2メートルほどのネットを、柱伝いに仮留め、本留めを繰り返してりんごの木を囲んでいく。
 「台風の際は被害をかなり減らせる」と菊池会長。

 そのあとは、りんごの葉を摘む作業。

 日光の当たり方でりんごの色付きが整わないのでリンゴの実に接触しているりんごの葉を摘み、日当たりをよくしていく。
 機械ではなく人の手で行う根気のいる作業だったが、色鮮やかなりんごを作るには欠かせない作業。


 晩は、伊達ゼミ歓迎BBQということで、たくさんご馳走になった。
 これまで、菊池会長、前田事務局長以外の方と話したことがなかったけれど、気仙茶の会のSさん、会長の同級生のIさん、おかあさん方....たくさんの方々と関わりを持てたことが、とてもうれしかった。


「秋刀魚ほしい人」
「はい !」

 素敵な笑顔の女性陣




 Iさんは、僕に、津波の話、息子さんの話をしてくださった。


 Iさんと腕相撲をした。