陸前高田合宿レポート (17)〜エゾイシカゲ貝

森川(4回生)

 長部漁港に行くまでのBRTからは陸前高田の街が見えた。
 沿岸部にベルトコンベアが出来ており、高台の宅地造成も、去年より進んでいた。

 奇跡の一本松の近くには喫茶店もできていて、観光バスも止まっていた。
 観光地のように見えた。


 一年ぶりの広田湾。
 作業場の場所が変わっていた。

 まずは仕掛けを洗う作業。

 去年もやった作業なので、慣れている。
 仕掛けについていたエゾイシカゲ貝やムール貝の稚貝が洗い桶にかなりたまっていたが、全部海に捨ててしまっていて、
「もったいない」
と思ったが、
おかあさんたちは、
「こんなんは もういいの」
と言っていた。


 東京・築地市場に出荷するエゾイシカゲ貝の出荷のお手伝い。
 出荷数量は、その日にならないとわからない。
 9割は築地に出荷される。
 「東京は2万件の飲食店があるので、市場も大きい」。


 出荷するエゾイシカゲ貝を5.4キロずつ分ける。
 そのとき、割れているものや形がおかしいものを目視で見つけて省く。
 また、ザルをゆらして音で中身の入っていない貝を見つける。
 貝同士をたたいて軽い音がしたら、カラの貝だそうだ。
 作業はかなり難しく、私には音の違いがあまりわからなかった。
 割れていなくても、形がいびつな貝は出荷しない。
 中身に問題が無くても、クレームがつくことがあるそうだ。


 発泡スチロールの箱にビニールを敷き、そこに5度Cの冷たい海水を入れる。
 その中に量った貝を入れ、輪ゴムでしばる。

 ほかの漁港では、ここに酸素を入れるそうなのだが、5度C以下の海水に入れていることで、貝が仮死状態になり、酸素が必要なくなるそうだ。


 丁寧にビニールテープで封をして完成だ。

 トラックで東京まで運ばれる。
 商品なので、取扱いに緊張した。


 剥いて食べさせてくれた。
 貝殻からはがしても、まだウネウネ生きている貝を食べるのは、かなり勇気が要った。

 甘くて、肉厚で、おいしかった !


 休憩の際には、お菓子やジュース、ブドウなど、たくさん用意してくださっていた。
 少しでも手を休めると、「ほら もっと食べ食べ!!」と、たくさんお菓子をくれて、本当に優しくもてなしてくださった。

 昼ごはんの時も、お弁当やお茶、エゾイシカゲ貝を用意してくださっていた。
 「食べなさい 食べなさい」と言われ、小林君と二人で全部食べた。

 エゾイシカゲ貝はそのまま食べてもおいしいが、しょうゆにつけてもおいしかった。
 しょうゆにつけると、きゅっと身がしまって、面白かった。

 休憩中、みなさんとても話が盛り上がっていたが、方言がきつく、ほとんど聞き取れない。
 気仙語の勉強と、聞き返す勇気が必要だと思った。


 午後は、新しくビニールを貼ってネットを付けた仕掛けに砂をこめる作業をした。

 砂が重くて、すぐに腰が痛くなった。

 これを毎日しているおかあさんを本気で尊敬した。


 9/17活動二日目
 この日も、7時のBRTで長部漁港へ。
 前日がとても暑かったので覚悟して行ったが、この日は肌寒くて、過ごしやすかった。
 この日も、まず、仕掛けのタライを洗う作業をした。
 慣れているが、かなり量が多く、永山君と話す暇もなく、無言でひたすら洗った。

 洗い桶で、初めてトリ貝を見つけた。

 確かに、見た目はエゾイシカゲガイにそっくりだ。


 割ってみると、身が黒かった。
 個人的な感想だが、トリ貝はあまりおいしそうには見えず、エゾイシカゲガイのほうが、はるかにおいしそうに見えた。
 漁師さんたちも「トリ貝はあまり味がしない」と言う。
【伊達ゼミの公式見解ではありません、あしからず。京都府北部はトリ貝の一大産地ですし...】


 その後、仕掛けのビニールを洗う作業をした。
 これをするのは初めてで、こびりついたムール貝や謎のブ二ブニした物体を木べらでそぎ落とすのだが、力を入れすぎるとビニールが破れ、優しくするとゴミが取れないので、とても苦労した。

 ビニールにはかなりの量のムール貝の稚貝がついていた。
 おかあさん曰く、「ムール貝は昔からいろんなところに張り付くので、『敵』だ」。
 育てたら高く売れるそうだが、そんなことはしないらしい。


 お昼の休憩で、またお弁当を頂いた。
 皆さん、津波の話を明るくされていたのが印象的だった。
 時には笑いも出ていて、驚いた。
 前日と同様、方言が聞き取りづらく、みなさんが盛り上がっていた「金庫」の話で重大な勘違いをしてしまっていた。
 この日、「気仙語を勉強する必要がある」と強く思った。


 その後、また2時まで作業して、Oさんが陸前高田大船渡市内のいろんなところに車で連れて行ってくださった。

 今、Oさんたちは、国からの補助金で船や漁の道具、生活費を賄っていて、その代わりに収穫物はすべて国に返す方法で活動されている。
 エゾイシカゲガイをもらうのではなく、築地市場に行ってエゾイシカゲガイを買わなければ、と思った。

 箱根山に連れていってもらった。

 展望台から広田湾が一望できて、長部漁港や一本松、菊地会長宅などの位置が、なんとなくではあるが、理解できた。
 これは、一回目に来てもわからなかっただろうな、3回来て活動したから陸前高田の街を少し理解できたのだろうと思った。
 展望台からは、昨年の夏合宿で、気仙茶の草とりをした小友町・三日市の茶畑がよく見えた。
 両方から津波が来たということがよくわかった。
 海水に浸かったつかったので、土をすべて入れ替え、田んぼにして、今では稲がちゃんと育っているのが見えた。
【気仙茶の会の小野さんが、箱根山展望台からの360度パノラマを作ってくれました。こちらです】





 大船渡市の穴通磯やOさんの前の職場にも連れて行ってもらった。



 車の中で、Oさんはいろいろ話をしてくださった。
 印象的だったのは、
陸前高田の街は、海もあって山もあって、こんなにいい街はない」
とおっしゃっていたこと。
 これは、ハマのおばあちゃんも、
津波さえなければね」
とおっしゃっていた。

 Oさんは、
「何十年後かにまた陸前高田に来てみてよ。きっと、びっくりするくらい変わっていると思うよ、オラもどうなるかわからないもん。」
とおっしゃっていた。


 早く陸前高田の復興を見てみたい。