陸前高田合宿レポート (25)〜米崎りんごと気仙茶、仮設住宅

梅木 (4回生)

 長い移動距離に、陸前高田との遠さを感じながら、私は一年ぶりに陸前高田に戻ってきた。

 今回で3度目の陸前高田訪問。

 バスから見える景色を懐かしく思ったが、すぐに一年前との違いに気づいた。


 一年前は建物もほとんどなく、内陸からも海が見えていた。
 しかし、今は、市街地には土が盛られ、海沿いから少し内陸に入ると、視界からはもう海は見えなくなった。

 土を運ぶために設置された巨大なベルトコンベアの存在感も大きく、道路には絶え間なく大型トラックが走っており、砂ぼこりで少しかすんで見えた。
 「やっと工事が本格的に始まったんだ」
と思うと同時に、山が削られ、海が見えなくなり、少し悲しい気持ちにもなった。


 活動1日目。
 午前中は、菊池会長のリンゴ園で活動した。

 前回の合宿からお世話になっている菊池会長。
「梅木さん?だよね?」
と一年ぶりにも関わらず、名前を覚えて頂いていたことは、本当に嬉しかった。

 今回は、初めて米崎リンゴの作業をさせてもらった。

 まずは、リンゴ園の周りに風除けネットを張り、次にリンゴの周りの葉を取って実全体に日を当たりやすくする。

 リンゴは日が当たることで黄緑から赤に色づくが、日が当たりすぎても味が悪くなる。
 すべて手作業でしかできない。
 少し力を加えてしまったり、強い風が吹いてしまったりすると、リンゴは木から落ちてしまうため、とても丁寧に扱わなければならない。

 ひとつひとつ触りながら、リンゴを見ていると、だんだん愛着が湧いてきた。

 菊池会長のリンゴ園からの景色。



 午後からは、仮設住宅の集会場で子ども達と遊んだ。
 今回初めて訪れたこの仮設住宅には、以前からつながりのあるご家族が住んでいることもあり、訪問させていただいた。

 子供たちが学校から帰ってきて、宿題やお絵かきなどをしながら遊んだ。
 久しぶりに会う子供たちは、最初は少し恥ずかしそうだったが、すぐに慣れて、学校や友達の話をしてくれた。


 夜は、会長宅で、気仙茶の会の皆さんが歓迎会を開いてくださった。

 おいしい料理と、楽しくて貴重なお話をたくさん聞くことができ、あっという間に時間が経った。

 会長のお宅には、私たちが前回の合宿で書いていったものが飾ってありました。

「『絆』は途切れてしまうことがあるが、『つながり』は途切れない。どんなことでも、『つながり』を大切にしてほしい」
という話をしてくださった。

 私自身も、こうして陸前高田に行くたびに、人と人とのつながりが増えて、考えが深まり、想いが強まっていることに気づいた。
 あるつながりが別の新たなつながりへと導いてくれることは、とても素敵なことだなと感じた。


 二日目は、気仙茶の会の前田さん、佐藤さん、小野さん、及川さんと、竹藪の中にうまってしまった茶畑の再生作業を行った。
 前回もここで竹を刈る作業を行ったが、一年経って竹は成長してしまい、草も生えて茶の樹に日が当たりにくくなっていた。
 しかし、どんどん竹を刈っていくと、前回の活動で印を付けた小さな茶の樹が出てきた。
 竹に隠れていながらも、茶の樹は少し大きくなっている。



 休憩中には、前田さんが、この茶畑から収穫したお茶を淹れてくださった。
 目の前の茶畑からできたお茶がその場で飲めることは、とても贅沢なことだ。
 一煎目から二煎目、三煎目と、まったく味が異なり、気仙茶の奥の深さを改めて感じた。

 お昼は、及川さんのお宅で休憩させていただいた。
 外のテラスからは海が見えた。

 震災当時の話をしてくださった。

 家は高台にあるため、海から津波が近づいてきて、街がのみ込まれていく様子が見えたという。
 その時の行動や気持ち。
 まるで昨日のことのように、はっきりと覚えておられた。
 地震津波の恐ろしさを強く感じた。

 いつどんな災害が起こるかわからない。その時、私はどんな行動を取るべきなのか。考えさせられた。


 
 再び茶畑で作業開始。
 一日の活動が終わり、日に当たる茶の樹をみて大きな達成感を感じた。

 まだまだ竹藪の中には茶の樹がたくさんあるが、一歩一歩、成長してほしいと願った。


 小野さんの車に乗せていただいた。
 カーナビには震災前の建物群が表示されていたが、今の街と見くらべると、残されたのは道路だけだ。
 今では信じられないが、確かにここには家があり、人びとの暮らしがあったのだ。
 小野さんは、自分の撮った写真を何枚か見せてくださった。

「ほんとうは夕陽のきれいな写真が撮りたいんだけどね…」
と出されたのは、巨大ベルトコンベアや工事の写真だった。
 陸前高田は、本当は、豊かなで美しい自然の景色がある所だが、今、撮らなければならないものがこの写真なのだという。

 復興工事が終わり、街ができるのは5年後そして10年後になるかもしれないが、いつかまた、美しい景色の写真を撮りたくなる陸前高田に戻ってほしい。


夜は車屋酒場さんにいった。
 お店は満席で、美味しい料理と賑やかな雰囲気はほんとうに楽しかった。


震災から三年半。
 街の景色は変わっていく中で、いまだ仮設住宅で暮らす人びとや仮設の店舗を見て、“復興”というにはまだまだ遠い。


 今回の合宿を通して、改めて強く感じたこと、それは、
陸前高田の人、一人一人を想うこと」。
 前回合宿からの1年間、テレビや新聞で「被災地」に関する出来事を見聞きするたびに、
「あの人どうしているかな」
と想っている自分がいた。

 私たちの就職や将来のことを気にかけてくださっていた。
 遠く離れていながら、少しでも想っていてもらえるのは、とても温かく、心強い。


 ここで感じ、考えたこと、そして陸前高田での出来事を忘れたくない。


 これからも、この活動を通じてつながることのできた人びとの暮らしの復興に、しっかりと目を向け続け、そして、想い続けていきたい。