神戸新聞「阪神・淡路大震災20年 こころの復興とは」(5)

 神戸新聞の連載記事です。
 「阪神・淡路大震災後、被災者の心はどのような軌跡をたどったのか。震災を機に広まった『心のケア』は成熟したのか。20年の歩みを追った。」
こちらです。


 震災20年 次代へ 第7部 こころの復興とは (5)
 惨事ストレス ねぎらいこそ最大のケア

・・・中略・・・
「絶対に助ける」という使命感と「何もできなかった」という無力感。活動で幾多の死に接する消防隊員は「惨事ストレス」にさらされる。
 課題は阪神・淡路大震災で表面化した。
 神戸市長田区菅原通の火災現場。隊員らは水勢の弱いホースを手に、じりじりと後退していた。「消防! 何やっとるんや」と罵声が飛んだ。
 機材がなく、生き埋めになった住民の救出も進まない。迫る猛火に、その場を離れるしかない。隊員の一人は、家の下敷きになった高齢女性を救えなかったことを悔い、「“菅原のおばあちゃん”のことが頭に浮かび、夜も目が覚めて思い出す」と手記につづった。
 兵庫県精神保健協会が震災13カ月後に実施したアンケートでは、被災地に勤務する消防職員の16%が「心的外傷後ストレス障害(PTSD)のリスクが高い」とされた。
 震災12年後の県こころのケアセンターの調査でも、震災を経験した神戸市消防職員の12%にPTSD症状がみられた。

 阪神・淡路後、各地の消防や警察組織は心のケア専門家らによる研修を行い、予防に取り組むようになった。御嶽山噴火や8月の広島市の土砂災害では、全消防職員に調査が実施された。
 だが、長野市広島市も、ケアをするのは市の保健師産業医らだ。地方ではPTSD治療を担える専門家は少ない。総務省消防庁は要請に応じて「緊急時メンタルサポートチーム」を派遣するが、長期的な観察とケアの体制は十分ではない。
 兵庫県こころのケアセンター長の精神科医、加藤寛(56)は「上層部がいまだにケアの必要性を認識せず、根性論を押し通す消防組織も多い。啓発の余地がある」と指摘する。
 加藤が重視するのは救助する側への接し方だ。「忘れていけないのは、組織の内外からのねぎらい。それが大きなケアになる」と呼び掛ける。=敬称略=(森本尚樹)
 (出所) 神戸新聞2014年12月24日付 朝刊1面

 この記事を読んで、陸前高田市消防団の方々の「惨事ストレス」やケアは大丈夫なのだろうか、と気になりました。

 昨年からゼミで陸前高田合宿に行く前、このDVDをみて感想を出し合ってきました。
 映像の中で、高田分団のメンバーは皆、涙目で、あの日のこと、翌日からのこと、救えなかった命のことを語っておられました。
 
 「陸前高田市 東日本大震災検証報告書」はこちらです。