陸前高田合宿レポート (6)

山本
 陸前高田を訪問したのは、このゼミ合宿が初めてでした。
 今まで授業でたくさんの映像を見てきましたが、今度は実際に自分の目で見ることに少し緊張を感じていました。
 まだ復興は進んでいないと聞いていたものの、新しい建物が建ち、新しい街が出来てきているものだと想像していました。
 けれど、陸前高田に向かうバス、そして“みんなの家”のてっぺんから見た景色からは、荒地の中でトラックなどの工事車両が行き交っているだけでした。
 もう4年経とうとしているにも関わらず、なかなか復旧していない現状を、改めて知らされた気がしました。
 この場所が、かつては家や店でにぎわっていたのだとと想像すると、言葉になりません。


 今年の集会所での企画は、手巻き寿司、チョコ作り、餅つき、ダンスでした。
 みんなで事前に集まって、とにかく本番のため、何度も練習しました。
 ダンスに関しては、みんなで踊ったダンスをコマ割りして動画で撮って、最後に一曲に編集するというもので、一コマの人数や、とにかく覚えやすく無理のない教え方、また、たくさんの世代の方に興味を持ってもらえるようなチラシでの見出しなど、相手のことを想いながら考えること。
 とても苦労しました。


 陸前高田に着いてから、私は鶴亀鮨さんのところへ手巻き寿司の打ち合わせに行きました。
 一人当たりの量を考えるにあたって、キュウリを持ってきて、一緒に切りながら考えてみたり、巻き方も丁寧に教えてもらい、大将にすごく親切にしていただきました。
 手巻き寿司パーティー当日も、酢飯や新鮮な刺身を提供していただき、大変おいしくいただきました。
 本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
 お店には、去年の先輩たちの写真がたくさん飾られていて、一つ一つの出会いをとても大切にされているのだと、うれしく思いました。


 集会所での二日間は、すごく早く時間が経ちました。はじめから、仮設の皆さんからの挨拶が絶えなくて、その元気と笑顔に、さっそくやる気が湧いてきました。
 朝の9時頃からはラジオ体操。久々に身体を動かすと、なんだかすっきりします。
 次の日にはラジオ体操の時間が待ち遠しく感じていました。
 毎日同じ時刻にみんなが集まるという習慣は、心の安定につながっているのだと感じました。


 始まる前は、来てくださった人たちと、どのように接すればよいかと難しく考えていましたが、
「おいしい ! おいしい !」
と食べてくださる姿や、
「あなたもたくさん食べてね」
と、手巻き寿司を作ってくれる姿をみると、一気に場にとけこめました。

 あるおばあちゃんは、去年の先輩の名前を言って、「○○君、来てないの」と探されていました。
 この楽しい時間、そして人との出会いと別れがお互いの記憶の中に刻まれていることに心打たれました。
 私がおばあちゃんの顔と名前を覚え、おばあちゃんが私の顔と名前も覚える。
 距離が縮まる。
 遠くからでも、にこっと笑って手を振ってくれました。
「さきちゃんの席はここね」
と近くに呼んでもらえました。

 ある方は、震災前、旅館を営んでいらして、
「また旅館するから、そのときに来てね」
と話されていました。
 旅館は津波で流されたのだろうと思いましたが、それ以上聞くこはできませんでした。

 しゃべる人形を持っている方もいました。
 狭い仮設住宅で独りで生活する寂しさが伝わってきました。
 話し相手がいるということは、とても幸せなことなのだ、と気付きました。


 ダンスはすごく盛り上がり、楽しくできました。
 事前の打ち合わせでは、一つの振り付けパートの練習に時間をたくさん費やし、何組かに分けてダンスのパートを教えることを計画していましたが、そんな必要もなく、皆さん覚えるのが早く、難なくこなしておられ、とても驚きました。

 パワフルでとても元気でした。

 2日目も、「今日もダンスしますよ〜」と呼びかけると、昨日やったダンスを踊ってくれました。
 「家でも踊ったのよ」という方もいて、一生懸命に考えてよかったなあと思いました。


 こどもたちとも遊びました。

 縄跳びをしたり、私の髪を結んでくれたりしました。
 三つ編みにしたり、いろいろなことをしてくれました。

 「自分で作ったの」という小さなかまくらも、かわいかった!
 その子は、ちょうどこの日が誕生日。
 チョコ作りも一緒にお手伝いしました。
 一生懸命に作って、ゼミ生の男の子にあげている姿を見ると、とても癒されました。
 はじめより皆に打ち解けているのが目に見えて分かりました。
 仮設団地のアスファルトの上でサッカーや鬼ごっこをする子どもたちを見ると、なかなかのびのびと身体を動かせていないことを感じました。
 仮設住宅は隣の家との距離は本当に近くて、生活面でも窮屈に感じているのだろうと思います。


 「もう集会所に泊まっていきなよ」
 帰り際に雪が降ってきた時も、
「これは帰ったダメだってことだね」
と声をかけてくれて、本当に別れが惜しくなりました。
 おばあちゃんは、強いハグと握手をしてくれました。
 「元気をもらいました。あなたたちも頑張って!」
と声をかけてくれた時は、何だかこちらの方が元気とやる気をもらっている気分になりました。
 片付けも一緒に手伝ってくれたり、おにぎりも作ってくれたり、最後までお世話になりっぱなしでした。

 集会所では次の日もダンスのイベントがあるようで、定期的に楽しく集まっていると聞きました。
 私たちの手巻き寿司パーティの前も、社協の主催で、皆さんでダンスをしていました。
 活発に活動している姿はとても素晴らしいなと思います。

 二日間、楽しんでくださった姿を見れたことと、共に笑顔になれたことが、私の一番うれしかったことです。
 陸前高田に行くまでは、授業で学んで知ったつもりになっていましたが、まだまだ知らないことがたくさんありました。

 自分からは震災当時のことを聞くことも、向こうから話してくれることもありませんでした。
 が、その場に行くだけで、復旧・復興が停滞していることを強く感じました。

 鈴木旅館でも、
「私の仮設住宅のところには誰も来てくれないね。小さい仮設だから、仕方ないけれど....」
とおっしゃっていました。

 待っている人はたくさんいます。

 本当にたくさんいます。

 私たちにできることは限られていますが、一瞬でも、何かを与え、そして与えられ、それを残しつなげていくことができたら。
 この合宿をやる価値はある。

 貴重な4日間。
 次につなげていきたいです。