陸前高田合宿レポート (7)

戸上
 初日、私の荷物に関する不手際で大変ご迷惑おかけ致しました。
 副幹事長としてリーダーシップを発揮していかなければならない立場と勝手に自負していますが、私の不注意によるミスです。
 以後、細心の注意を払います。

 陸前高田を初めて訪れましたが、私が考えていたよりも復興は進んでいないというのが正直な感想です。
 もうすぐ震災から4年が経過しようとしているとはとても思えませんでした。

 防潮堤やベルトコンベアの話を先生から伺いましたが、実際の津波より低い防潮堤をつくるということには疑問がありました。
 しかし、実際の津波の高さに合わせて防潮堤を作ってしまうと、他方で、景観の問題や、海の様子も見えなくなり津波の危険を意識しなくなるなどの問題があるので、答えを出すのは難しい問題だと思いました。

 今回の合宿では企画の運営に関わりすぎて、仮設住宅に住んでおられる方と話すことがあまりできませんでした。
 しかし、手巻き寿司をしている最中に、一人のおばあちゃんに、
「皆様のおかげで生かされています」
と声をかけられ、戸惑いました。


 車屋酒場にて、伊達先生と少しお話ししたのですが、「震災から4年が経過しようとしている今、与えボランティア』から『自立を妨げないボランティア』に移行することが必要だ」と、以前から先生がおっしゃっているのを聞いてから、自分の中で引っかかるものがありました。
 企画段階から、話す機会、触れ合う機会、身体を動かす機会は織り込めているとは思っていましたが、「自立を妨げない」という部分にはまだ
配慮できていないと感じていました。

 実際やってみて、様々な場面で、皆さんの「笑顔」が見ることができたので、とても嬉しく思いました。
 企画ごとに、体を動かすこと、お話しすること、一人暮らしの方にチョコを配ったりはでき、少しずつではありますが、それぞれの役割は果たせたと思います。
 しかし、「自立を妨げないボランティア」という意味では、何もできなかったと痛感しています。
 次への課題として、考えていかなければならない問題だと思います。

 私が班長を務めさせていただいた餅つきに関しては、中村区長をはじめ 仮設住宅の皆様のご協力があったからこそ盛り上がった企画でした。
 臼杵をはじめ、ガスボンベの手配、鍋など皆さんに持ち寄っていただいたことにより、企画が企画を呼んだといいますか、甘酒やおいなりさんなども作っていただき、こちらがボランティアされているかのようでしたる
 感謝の気持ちで一杯です。
 餅つきをしている最中、臼杵を準備していただいた方に、「男が杵でついて、女がもちをかえす。これが本来の形で、寄り添ってやるんだ」と教えられ、伝統文化を学ぶこともできました。
 学生に餅のつきかたを伝授している姿は、たくましく、力強い男としての姿でした。
 集会場などの行事でも男性は参加しづらい面もあって、そういう意味でも、餅つきをしてよかったと強く思いました。

 おはぎやきなこ餅も、おばあちゃんたちの手際の良さで、大盛況でした。
 京風のお雑煮も、地元のお雑煮も大人気で、それぞれの持ち場で経験や知恵を貸していただき、協力して下さって企画の盛況に繋がったことが、一番の収穫だったと私は思っています。
 おじいちゃんもおばあちゃんも「腕の見せあい」になったのではないかと思います。
 皆さんの顔つきも「凛」としていました。


 高田一中仮設の集会場で、石巻市の高校生が書いた「潮の匂いは。」という作品のコピーが壁に貼ってあるのを見つけ、読みました。(こちらを参照してください)

 読んでいる最中、吸い込まれるような感覚を受けたのはこれが初めてでした。
 人の無責任さを強く感じました。
 2011年当時は、たくさんのボランティアや支援が世界中、日本中からありました。
 「がんばろう日本」、「がんばろう東北」など、いろいろな場面で、「絆」を意識させる言葉が使われていました。
 「絆」と言うことは簡単ですが、動くことは難しいです。
 言葉に責任を持てた人なんて、そうそういないと思います。
 私もゼミで震災について学ぶまでは、「がんばれ」という言葉を平気で使っていた一人です。
 実際に被災した人にしかわからない、心の「傷」というか「闇」のようなものが、この作品には詰まっていると感じました。

 自分の行動や言動に細心の注意を払わなければならないと考えさせられました。
 作者のような思いを皆が持っていることを知り、その思いを広めていかなければならないと強く感じました。



 車屋酒場では、Kさんとお話させて頂きました。
 「どういうボランティアが今求められているのか」とKさんに伺いしました。
 Kさんは、
「どんなボランティアでも、こっちはありがたい。けど、ボランティアした!頑張った!とかいう自己満足はいらない。ニーズは人それぞれだけど、しっかり考えてくれたことに無意味ということはないし、ボランティアで来てくれた人のいい経験にもなればそれでいい。正解なんてない。」
 このようなニュアンスのことを言われました。
 今回、私達のゼミ活動に少し自信をもてました。しかし、この活動が正解だとは思いません。
 現地に来て、被災者の現実を見て考えて、それをまた次につなげていくということに尽きるのでしょう。
 大切なのは、絶対に自己満足せずに、反省して次に生かすこと。
 そのためには、震災について学び、知識を蓄えることだと考えました。

 また、将来のことを聞かれて、kさんの体験談を聞かせて頂きました。
 Kさんは、学校卒業後、今とは別の仕事に就かれたそうです。しかし、ずっと飲食店を営むということが頭から離れず、このお店を開店させたとおっしゃっていました。
 「夢を叶えるまでに、約10年寄り道したけれども、それは無駄な時間ではないし、人生は一度きりだから後悔しないようにやれ!」
と言われました。

 NHK消防団に関する番組で、Kさんはマイヤに逃げ込んだから助かったと知りましたが、恐らく本当に死ぬ覚悟をされたと思います。
 そういう経験をされた人が「人生は一度きりだ」とおっしゃると、ものすごく説得力がありました。
 自分の夢は模索中ではありますが、後悔しない生き方をしなければ、と考えさせられました。

 店内の寄せ書きに「有志有道」という言葉がありました。
 志が有れば道は有る。
 とてもいい言葉だと思います。
 私も志を持ち続けていきたいと思いました。



 今回の合宿を通じて、自分の考え方や心の中での葛藤、様々なことを考えさせられました。
 メディアからは知ることのできない、本当の陸前高田をこの目で見ることができました。
 しかし、実際に、復興は進んでおらず、風化も進んでいくばかりです。
 「大学でボランティアをやりたい!」と思って伊達ゼミに入ることができ、やっと実際に被災地を訪れることができて、本当に今の私の置かれている環境に感謝しています。
 今回得た経験を次回からのゼミにどう生かしていくか、これから何をしていくべきなのかというのは難しい問題ではありますが、それを突き詰めることが大切だと思います。
 ゼミとして考えていきたいです。


 帰り際に「次はいつ来るの」「また来てね」と言われ、とても寂しくなりました。
 私達に出来ることはたいしたことではありません。
 しかし、被災者が一瞬でも笑顔でいられるように、また震災について知識を深めて相手のニーズを確かめ、ボランティアに参りたいと思います。
 短い間ではありましたが、高田一中仮設住宅のみなさんをはじめ、たくさんの方々にお世話になりました。
 また夏にお会いできることを楽しみにして、勉学に励んでいきたいと思います。
 ありがとうございました。