茶畑活動日誌 7/26

前川
 今回の活動はゼミ生4人での参加でした。
 僕が南山城村に行く時はいつも雨だったので、今回初めて太陽を見ながらの作業となりました。
 寒冷紗をめくって茶葉を刈る作業を行いました。
 寒冷紗をめくると雑草が目立つので、それを除去する作業も並行して行いました。
 途中、刈った茶葉を加工場に運んで行きました。
 大きな200kgのコンテナに刈った茶葉をどんどん詰めて行きます。
 1回の詰め作業で、200kgコンテナ1つと半分くらいの量になりました。


 たくさんのコンテナに茶葉が詰められて置かれています。
 ここで気になったのが、コンテナ1つ1つにつながっている上から伸びる線でした。
 これは電源プラグで、コンテナに内蔵されている冷却ファンを稼働させるために使われます。
 つめられた茶葉は外気温も相まって、かなりの熱を持っています。
 高温のまま放置すると、「くたる」といって、茶葉がしおれて変色してしまうそうです。
 「くたる」とは、高温状態で空気にさらし続けると酸化がすすみ、茶葉の成分クロロフィルが褐色に変化してしまうことを言います。
 こうなると完成品の色の劣化は免れません。
 そのため、こうやって冷却ファンを回しているのです。

 詰め作業が終わった後、農協の人が来て、偶然にもお茶の出荷作業に立ち会うことができました。
 といっても、完成した茶葉をトラックに積み込む作業を手伝っただけでしたが。
 製造に自分が関わったわけではありませんが、お茶が出荷されていくのを見るのはなんとなく寂しいような嬉しいような気持でした。


 今回の活動が私たちの今季の活動の最後でした。
 初めて茶畑に訪れた時は、雨の降る中で、必死に教わりながら作業を行ったのを覚えています。
 前に立つとお茶の香りに包まれる送風機や、いつも元気に迎えてくれるハピ、木野さんはじめ、お茶の木野園で私たちに指導してくださった皆様。
 次はいつ会えるだろうかともう寂しい気持ちです。
 「近くに来たら寄っていって」
 そう言ってくださいました。
 行ける機会は少なくとも、僕はずっとお茶の木野園で作られたお茶のファンです!
 本当にありがとうございました。



【番外編】
 活動中、授業でやっていたことを思い出しながら取り組みました。
 それは寒冷紗をかける目的と、寒冷紗がチャ樹を弱らせるということの2つです。
 寒冷紗は、太陽を遮ることで茶葉の旨みを出すことを目的としています。
 その仕組みはこうです。
 茶葉はもともとテアニンと呼ばれる旨み成分を作り出しています。
 太陽が当たると光合成によってテアニンをタンニンへと変化させる働きをする。
 タンニンは渋みのもととなる抗酸化物質です。
 太陽光が強すぎると光阻害というものが起こります。
 これは光合成によるエネルギー変換の限界を向かえた茶葉の中で生まれた活性酸素光合成のシステムを壊してしまうこと。
 活性酸素の害を防ぐために、茶葉はテアニンを抗酸化物質タンニンへと変換します。
 タンニンは渋みのもとなので、旨みを重視するお茶にとって好ましくありません。 
 だから寒冷紗を被せて太陽光を防ぐのです。
 ちなみに新茶のシーズンが喜ばれるのは、そもそもの太陽光が弱いためテアニンが多く茶葉に含まれやすいからです。
 寒冷紗の継ぎ目の部分で、下の写真のように色が変わってしまっている部分がありました。

 これは光阻害によって、光合成を行うための光を吸収するクロロフィルという成分が他物質へと変換されたために起こった変色です。
 クロロフィル可視光線のうち赤と青を吸収し、緑を反射します。
 そのため植物は緑に見えます。
 しかし、活性酸素によって茶葉内が酸性になるとクロロフィルが分解され、フェオフィチンという物質が生まれます。
 フェオフィチンは灰色なので、緑色が薄く見えるようになるのです。
 色が薄くなっているということは光合成の機能が落ち、茶葉が弱っていると言えます。
 また、寒冷紗が被っている部分は、太陽光を求めてクロロフィルが増加するため、茶葉が濃い緑色になります。

 次に、寒冷紗がチャ樹を弱らせるということについて述べます。
 上では、強すぎる光によって茶葉の光合成機能が落ち、色も味も悪くなってしまうために寒冷紗をかけると述べました。
 寒冷紗によってチャ樹が弱るとはどういうことなのでしょうか。
 寒冷紗をかけると、太陽光が65%〜95%遮断されます。
 光合成を行えない茶葉はその成分を根から流用(根の養分は前年に生成されたもの)します。
 察しの通り、根から養分が奪われると、チャ樹そのものが衰弱します。

 もう一つ、寒冷紗をかける作業のときに寒冷紗と茶葉がこすれてしまいます。
 この擦れによって茶葉に細かい傷がつき、その傷から酸化がすすみます。
 目には見えないほどに細かな傷でも、酸化作用によって色が劣化し、出来上がりの色が悪くなります。
 この色の劣化はクロロフィルがフィオフィチンに変化することによって起こるものと同じです。
 結果、お茶の旨みを出すために寒冷紗は必須であることがわかりました。
 しかし同時に、寒冷紗が茶葉に傷をつけてしまったり、チャ樹の根から養分を奪ったりするなど、悪い部分も見えました。
 だからと言って、寒冷紗を使わずに旨み溢れるお茶を作るのは至難の技。


 僕たちのような若者がお手伝いとして行っている時に、「棚掛け」の寒冷紗を作るというのはどうでしょうか。
 「棚掛け」ならば、直掛けの寒冷紗のように、擦ってしまうなどの障害はなくなります。
 端に位置するチャ樹にのみ例外で直掛けすると、太陽の傾きによる日照量のムラを気にすることもないはず。
 来季があれば提案していきたいと思いました。


参考「伊豆沼の四季 光合成色素の分離」
  「竹林茶屋 クロロフィルとは」
   日本茶検定委員会監修「日本茶の全てがわかる本」pp.88-89