陸前高田ゼミ合宿 3回生 仮設住宅で〜「巨大ベルトコンベアの運転は終了したけれど...」

 仮設住宅班は、一中仮設で活動しました。

 震災から4年6か月。想定使用年数2年の仮設住宅もかなり老朽化しています。
そのため、県が大和ハウスに委託し、仮設住宅の基礎の補強工事が行われていました。
 作業員の方とお話すると、「仮設住宅の基礎はマツの木なので、4年もたつと、湿気で腐ってくる。鉄板と鉄棒で補強している」とのことでした。



2人一組で、「生活不活発病チェックリスト」を持って、一人暮らしの高齢者世帯を訪問。
 「震災前に比べて、外出の機会は減っていますか」、「トイレや入浴など、不自由なく動けていますか」などを1軒1軒「チェック」して回ります。
「チェック」という言葉には、「『調査のための調査』にならないように」という私たちの思い、「仮設の中に閉じこもっていてほしくない」という思いを込めております。


最初は緊張しっぱなしの「チェック活動」なのですが、しばらくすると、「あなたたちも、はまってけらんせ〜」と、いつの間にか、お茶っこタイムへ移行。
 「おらたちのこと心配して、京都から来てくれるのがとてもうれしいのよ〜。さあさあ、食べなさいね〜」。



集会所で「いっしょに鍋パーティ」を開催



食後は、「棒サッカー」で体を動かします

 まずは、「棒サッカーとはどのようなスポーツなのか」を、日本棒サッカー協会のHPにある下の動画を用いて解説します。

(出所) 一般社団法人 日本棒サッカー協会


 その後、準備体操をして、

 学生たちによる実演。そしてルールを解説します。


 今回、一般社団法人 日本棒サッカー協会大阪府豊中市)は、私たちの趣旨に賛同してくださり、ボールや棒を無償で貸与してくださいました。様々なアドバイスもいただきました。ありがとうございました。
 

 最後に、優勝チームの皆さん+αで記念撮影。パチリ。




常総水害のための募金

 仮設住宅にお住いのSさんが、「イベント中、この紙を貼って、募金を集めましょう !」と、集会場の中に『災害を忘れない 常総水害義援金 一中仮設住人・伊達ゼミ一同』の貼り紙をしてくださいました。
 参加者有志で募金をしました。
 集まった募金は、その日のうちに、Sさんが陸前高田市社会福祉協議会へ届けてくださいました。
 大切なことを教えてくださいまして、ありがとうございます。



【ゼミ合宿の事後学修のために】
巨大ベルトコンベヤーが運転終了


岩手日報』2015年9月15日付より転載
 「陸前高田市気仙町の今泉地区の高台造成地から土砂を搬出しているベルトコンベヤーは15日に運転を終了する。昨年3月末に稼働し約1年半で500万立方メートルの土砂を搬出。中心市街地となる高田地区の土地かさ上げ工事を大きく進めた。東日本大震災から4年半、コンベヤーとつり橋「希望のかけ橋」が役目を終え、大規模造成工事は新たなステージに移る。
 ベルトコンベヤーは高さ125メートルの愛宕山を45メートルまで削る工事で出た大量の土砂を気仙川対岸まで運ぶために整備。最初は延長約1.1キロで始まり、昨年7月から総延長を3キロまで延ばし完全稼働した。1日にダンプ4千台分に相当する2万立方メートルを運搬し、ダンプカーでは約9年かかる搬出を大幅に短縮した。
 土砂は高田地区のかさ上げや復旧工事を進める高田松原地区の防潮堤の堤体底部に活用。高さ9〜12メートル盛り土する高田地区の中心部は、93ヘクタールのうち50%の約47ヘクタールのかさ上げが終わった。高さ12.5メートルで整備する防潮堤は10メートル超まで土を積み重ねている。
・・・中略・・・
 今後、かさ上げに使う土砂は両地区の高台切り土をダンプカーで運ぶ。両地区ともに2018年度の完了予定。」
 (注1) 陸前高田の巨大ベルトコンベヤーについては、こちらのブログ記事「陸前高田の巨大ベルトコンベア」(2014年3月22日付)をご参照ください。この記事を書いてから1年半が経ちましたが、基本的な考え方は今でも変わっていません。)
 (注2) 「陸前高田市今泉地区・高田地区整地工事」の概要については(株)清水建設のHP(2014年9月3日時点)をご覧ください。こちらです。また、ベルトコンベヤーや大型破砕設備については、(株)古河機械金属のHPをご覧ください。こちらです。



 旧市街地の高田町・気仙町今泉地区の宅地造成工事の完了は、2018年度(平成30年度)いっぱいかかるようです(下の地元紙『東海新報』の記事を参照)。
 日に日に住宅建設コストが高騰していく中、そして米崎町など他地区の防災集団移転事業の完了が見えてきた現在、高田町・気仙町出身者が多い仮設住宅団地の皆さんの気持ちは、とても複雑です。
 「ベルトコンベヤーは『ダンプカーでは約9年かかる搬出を大幅に短縮』したんですね。すごいですね」
などという話を、宅地造成工事の完了が2018年度末にずれ込み、住宅建築の完了はもっと後になってしまう方々に向かって、安易に持ちかけることなどとてもできません。(また、ベルトコンベヤー自身も、もともとの計画では5月に運転終了する予定でした)
 その方にとっては、「巨大ベルトコンベヤーが頑張っても、宅地造成工事の完了が2018年度末にずれ込む」のですから。
 仮設住宅団地の中に立っていると、「9年」とか「1日あたりダンプ4000台分の運搬能力」などという、机上の割り算で求めた数字を軽々しく口にする気にはなりません。
 「復興は進んでいますね」と、よそ者が勝手に決めつけてしまっているような気がしてなりません。
 また、下の地元新聞の記事にもあるとおり、先月末、気仙町今泉地区の宅地造成工事に関する市の説明会が開催され、「工事完了時期が遅れる」と市から言い渡されたばかりですので、その意味からも、「復興は進んでいますね」などという無神経なことは言えません。
 もちろん、「1日でも早い復興を」のかけ声のもと、不眠不休でベルトコンベヤーの建設・運転・保守に携わってこられた作業者の方々のご尽力には敬意を表したいと思います(以前、鈴木旅館の熱いお風呂の中で、作業員の方から苦労話を伺ったことがあります)。土砂運搬のマネジメントが復興事業において大変重要な課題であることは認めます。が、陸前高田の巨大ベルトコンベヤーを「復興のシンボル」かのように扱う論調には、違和感があります。

 陸前高田市の復興計画は、もともとそれ自体が、巨大ベルトコンベヤーがなければ土砂の運搬だけで「9年」もかかってしまうような壮大・巨大な建設プロジェクトだったのでしょうか?
 もしそうだとするならば、「復興計画の中で、『人間の復興』はどのように考えられていたのか??」と虚しくなって力が抜けてしまいます。
 震災当時に7歳だった子供は、いったい何歳になったら、まともな家に住めるようになるのでしょうか。中学校を卒業してしまうではありませんか。

 仮設住宅に暮らす子供たちや高齢者の方々を見ていると、
 巨大コンベヤー搬送技術ではなく、被災住民の早期『脱・仮設住宅』対策のほうに《人類の英知》を結集させることはできなかったのか.....、
 大量のダイナマイトで爆破し続けなければならないような堅牢な岩山を長い時間をかけて45メートルになるまで掘削しなければ(土地の先人達が、これまで、理由あって手をつけてこなかったような岩山を人為的に爆破し掘削しなければ)、気仙町今泉地区の方々は住居を手に入れることができないのか.....
 増税以外に、何か私たちに協力できることはなかったのか.....
と、とても残念な気持ちでいっぱいです。


 9月10日から17日までのたったの8日間 陸前高田に滞在しただけの単なる個人的印象論ですが、一中仮設の方々は、震災から4年半経った現時点を、「ようやく(まだ)折り返し地点」と認識されているのではないか。
 いや、「震災直後のほうが、全国から様々な支援もあり、住民同士も『仲間意識』や『連帯感』があった。あと3年待てば、と思っていた。だからガマンできた。震災直後よりも、今のほうがもっとキツイ」という声も昨年あたりからよく耳にしますので、「底」、あるいは「ニ番底」と認識されている方も少なくないのではないか。
 そう強く感じました。


(出所) Googleマップ



ベルトコンベヤーは頑張ったけれども、気仙町今泉地区の住宅再建は遅れる


東海新報』2015年8月31日 1面より転載
 建設可能時期に遅れ、今泉地区高台造成 高台⑤〜⑦29年度以降
 陸前高田市による今泉地区被災市街地復興土地区画整理事業等説明会は28、29の両日、市内で行われた。市側は事業計画変更や今後の工事展開などを説明。大規模なベルトコンベヤーを使って造成が進む高台⑤〜⑦(地区南西側)は、これまで平成28年度中頃以降の完成としていたが遅れが生じ、29年度夏以降に順次造成が完了していくスケジュールなどが示された。・・・中略・・・
 第一中体育館では冒頭、戸羽太市長が『地区南側の高台先行地区は、遅れが出る見込み。理由は造成を行っている愛宕山で硬い岩が当初見込みより多かったこと、残存建物の取り扱いや現に居住している方の生活道路の確保など工事を進める上での制約事項が高田地区よりも多い』と述べた。・・・中略・・・
 年度別整備スケジュールも示し、これまで高台⑤〜⑦は28年度中頃以降の完成としていたが細分化。範囲が広い高台⑤は29年度中旬から建築が可能となり、区域によっては30年度後半からとなる。
 また、高台⑥は29年夏、高台⑦は30年度からとした。北側の高台②は同(30)年度末、高台②の南側に隣接する高台③は同(30)年度中頃、今泉災害公営住宅の西側の高台④は同(30)年度前半となっている。・・・中略・・・
 今泉地区では高台部での切り土をかさ上げ部に運搬して造成するため、市側は『高台、かさ上げ部ともに何らかの理由で工事できない場合、工事工程全体に影響する』と述べ、理解を求めた
 出席者からは工事進展により、区画整理事業地内や周辺で生活している住民への影響を懸念する声も。竹駒地区コミセンでは『予定がどんどん遅れれば、我々は年を取っていくし、資材や物価が上がる』と不安を寄せた住民に対し、市側は今後も早く進むよう見直しを重ねていく姿勢を示した。」


 陸前高田市「今泉地区 被災市街地復興土地区画整理事業事業計画変更等説明会資料」(2015年8月)より抜粋。こちらを参照。





 今泉地区の高台エリア希望者は、上記の「換地意向確認」の表にあるように、土地利用計画策定時点の2013年8月では333世帯でしたが、14年10月時点では230世帯に減少していました。
 自力で土地を探して家を建てる「自力再建」組の動向も含めて、今後も注目し続けていきたいと思います。

 資金計画の支出欄を見ると、今泉地区の宅地造成工事にかかる金額は、資材費や人件費の高騰などにより、566億円に増大しています。
 収入欄を見ると、この566億円のうち460億円(82%)は、復興交付金(国からの補助金)で賄われています。

 事業費566億円を世帯数257世帯(高台を希望する230世帯+かさ上げ地を希望する22世帯+平坦部を希望する5世帯)で割って、今泉地区の「1世帯当たりの事業費」を単純計算してみると、2億円を上回り、かなり大きな金額になります。
 被災地外の一般国民にも25年間という長期にわたる所得税増税が課されていることを考慮すると、《費用と便益》を重視する立場からは、「法外な費用をかけた宅地造成事業土地区画整理事業)ではないか」と疑問を抱く国民がいても不思議ではないと思います。
 巨大ベルトコンベヤーそれ自体にも、150億円!という巨額の費用がかかっています。「お疲れ様」「よく頑張った」ではすまない問題です。極端な単純計算ですが、1世帯あたり5,000万円 × 300世帯 = 150億円 となり、巨大ベルトコンベアヤーにかかるおカネを、300世帯に5,000万円ずつ配分してしまったほうが、より多くの被災者がより良い暮らしを手に入れることができたかもしれないからです。

 様々な事情で、行政による宅地造成工事の完了を待たずに、自力で土地を探し住宅再建に踏み切った人も数多くいます。《被災者間での国費投入の公平性》を重視する立場からは、疑問が生じるかもしれません。

 不自由な仮設暮らしの長期化、宅地造成工事の長期化、高台エリアへの移転を断念する被災者、やむなく自力再建を選択する被災者等々、これらを考えあわせると、「この復興計画・事業は、いったい、どのような『復興』を目的とする計画・事業であったのか」と、ますます複雑な気持ちになります。

 多くの国民は、「被災地の方々が、一日も早く元の暮らしに戻ってほしい」と願って、長期にわたる所得税や住民税の増税という《痛みの分かち合い(連帯)》を受忍してきたのだと思います。なんのための増税だったのか、と残念な気持ちでいっぱいです。



高田地区


(出所) 陸前高田市「高田地区被災市街地復興土地区画整理事業等説明会資料」(2015年3月)より抜粋。
 
 高田地区の高台エリア希望者は、土地利用計画策定時点の2013年8月では603世帯でしたが、14年10月時点では360世帯に減少してしまいました。

 陸前高田市の市街地の高台エリア希望者は、高田地区と今泉地区とで合算すると、936世帯(2013年8月)から590世帯(14年10月)へ大幅に減少しています。


(文責: 伊達浩憲)