陸前高田合宿レポート 4回生 (1) 仮設住宅

久保 (仮設住宅班)

 【1日目/9月12日】
 翌日に行うイベントの呼び込みをしていると、
「よってけらい!」
とAさんに呼ばれ、Aさんのお宅にお邪魔させていただきました。
 Aさんのおいしい手料理やコーヒーをよばれました。

 仮設住宅の中にお邪魔させていただくのは初めてでした。
 以前、「仮設住宅の中は、トイレもお風呂も台所も5歩あれば移動できる」と聞いていましたが、まさにその通り。
 前日が大雨だったので、Aさんだけでなく多くの方が、「カビが発生したから掃除しないと」とおっしゃっていました。
 カビは掃除すれば済むなんてものではないようです。
 健康にも危害を及ぼしてしまう可能性があると伺いました。
 使用期間が原則2年といわれている仮設住宅
 老朽化に直面している事態を目の当たりにしました。


 また、Bさんのお散歩にもご一緒させていただきました。
 Bさんは、診てもらっているカウンセラーの方から、「足が悪くなるといけないから、歩くように」と言われているそうです。
 散歩といっても、家から遠く離れたところに行くというわけでなく、自分の仮設住宅の前を行ったり来たりするだけです。
 「人がいないところに行って、もし転んでしまったら大変だからね」と。
 高齢者の独り暮らしは、常に危険と隣合わせです。
 若者は「またいつ津波がくるかわからないから、陸前高田には住みたくない」という方が多いのに対し、高齢者の方は、「この陸前高田で暮らし続けたい」という方が多いそうです。
 家族内で意見が割れることがあり、仮設住宅を出てからの生活を考える上で、とても複雑な問題です。

 そんなことを考えていると、「おらぁ こごがいい」という歌を教えていただきました。

 正直私には笑顔で歌えるような歌詞ではありませんが、この歌に、「こご」に住んでいる方の気持ちが全面に詰まっているように思えます。


【2日目/9月13日】
 敬老会の準備をする際に、Cさんが震災のことをそっと私に語ってくれました。
 「孫と旦那が津波で流されてしまったね。今も行方不明なの。」と。
 震災が起こる数時間前、当時5歳だったお孫さんは、習っていたピアノをCさんに披露した後、「行ってきます」と告げ、ピアノ教室に向かい、その道中で津波に遭いました。
 「ランドセルも背負わしてやれなかったの。」
 「小学校に通う姿が見たかった。」
 Cさんは、
 「4年半が経って、今やっと立ち直ろうとしている」
と、話してくれました。

 「私は、本当に生きていていいのだろうかっていう苦しみに駆られる時があるんだけど、こうやって、あなたたちみたいなよその方にお話して、共感してもらうことで、私は生きていてよかったんだと思うの。」
その話を聞いて、ただ頷くことしかできませんでした。
 以前、授業で「サバイバーギルト(生き残った者が抱く罪悪感)」という言葉を知りましたが、4年半経った今でもこの苦しみを抱いている方がいることを目の当たりにした瞬間でした。

 「『頑張れ』っていう言葉はかけられたくないの。だって、みんな、もうすでに頑張っているし、他人事みたいに聞こえるから。『一緒に頑張りましょう』って声をかけてほしい」と。

 前にも鶴亀鮨の大将が同じようなことを話してくれたのを思い出しました。
 けれど、よそ者の私は、何か声をかけてあげることができず、ただただ頷くことしかできませんでした。

 3回来ても、震災当時のお話を伺ったときに、気の利いた言葉なんてかけることなんか私はできません。
 ただお話を聴いて頷くことしかできないけれど、もし、それだけで少し肩の荷が軽くなる人がいるなら、何度でも会いに来ようと思いました。


 もしCさんのお孫さんが生きていたら、同級生だったというDちゃん。
 Dちゃんは、私が初めて陸前高田に来た時から、必ず私たちのイベントに来てくれます。
 1年ぶりに会ったDちゃんは、身長が伸びていて、やんちゃだった以前とは違い、少し大人しくなっている気がしました。
 私の名前を覚えてくれているかは定かではありませんが、Dちゃんの持っている任天堂のDSの中に、以前、手巻き寿司パーティをした時の写真が残っていました。
 私たちのことを覚えていてくれて嬉しかったです。

 Dちゃんのお母さんにも会えました。
 相変わらずのおもしろおかしい話口調で、私たちを笑わせてくれました。


 本当に、ボランティアに来たというよりは、「親戚に会いに来た」という感覚です。
 私は、この親子とずっとこういった感覚でつながっていたいと思うし、このつながりをずっと大切にしていきたいと改めて思いました。


 今回も、前回同様、さまざまな方々との出会いがありました。
 急な申し出にもかかわらず、快く私たちの企画したイベントにご協力してくださった、おかし工房 木村屋ベーカリーさん。
 いつかまた何かご一緒できたらと思っています。
 おいしい焼き立てパンを作ってくださり、本当にありがとうございました。
 塩バターパン、大人気でした !