陸前高田合宿レポート 4回生 (6) エゾイシカゲ貝

浜田
 3度目の陸前高田市訪問。今回私は、エゾイシカゲ貝の養殖のお手伝いをさせていただきました。

1日目(9月12日)
 前日まで大雨が続いたとは思えないほどの快晴。
 しかし、前日の大雨・波浪の影響により、海での作業は残念ながらお休み。

 BRT長部駅までOさんが迎えに来てくださり、海の近くの作業場まで連れて行っていただきました。

 この日は、ワカメの養殖に使うロープについた仕掛けやゴミを取る作業。

 2人一組になり、長くて重たいロープを端から綺麗にしていきます。
 手で取ることができない仕掛けは、鎌を使って切り落とします。
 ロープには、仕掛けやゴミ以外に、ワカメ(ほんの少しでしたが)も付いていて、ほんのり海水の香りが残っていました。
 

ワカメです!


仕掛けの細いロープがついています。


取り除いたロープ。


 作業をしていると、 
「あれ、今日は人が多いね」
と、声をかけていただきました。岩手県議会議員の方です。

「震災から4年半、最近はボランティアもあまり見かけなくなった」
 
 実はこの言葉、数分前にもOさんとのお話の中でも出てきていました。
 震災から4年半。時が経つにつれ、やはり東日本大震災は風化してきているのだな、と改めて感じさせられました。


 お昼ご飯をいただき、作業再開。
 キリのいいところで、ゴミを取る作業は終わりにして、綺麗になったロープをグルグルと巻き直します。

 一見簡単そうな作業に見えますが、実際は、ロープが思うように動かず、ゼミ生はたち苦戦していました。
 「捻じれているところを真っ直ぐにした方がやりやすいよ」
とOさんからコツを教えていただき、なんとか綺麗に巻くことができました。

 この日の作業はこれで終了。
 普段、この作業は、海がお休みの日に少しずつ進めている作業だそうで、作業後、
「やったー!やったー!だいぶ進んだ、ありがとう」
とOさんがすごく喜んでくださって、とても嬉しかったです。


2日目(9月13日)
 この日は、ハマでの作業。
 偶然、エゾイシカゲ貝の出荷の日でもあり、朝から大忙し。

 そんな忙しい中、長部漁港に着いた私たちにも、
「どこから来たの〜?」
「去年も来てくれたよね〜」
と、みなさん温かく迎えてくださいました。


出荷は、流れ作業で行っていて、私たちゼミ生は、エゾイシカゲ貝の大きさを測りました。

枠の中におさまると、規格より小さく、出荷することができません。


 この写真のように、枠からはみ出せば、クリア !

 一定の大きさをクリアしたエゾイシカゲ貝は、海水の入った発泡スチロールに5キロずつつめ、出荷できる形にします。

 出荷の時間がせまる中、5人の漁師さんと一緒に黙々と作業を続け、無事に出荷作業終了。


 出荷作業が終わると、また次の養殖期に向け、仕掛けを準備します。
 発泡スチロールについた汚れを洗い流す作業をやらせていただきました。
 海水と、タワシを使って、汚れを落としていきます。

 全て洗い終わると、次は綺麗になった発泡スチロールに青いビニールをかけ、ネットを張っていく作業。

 先ほど綺麗に洗った発泡スチロール製タライ

 ビニールをかぶせます

 ネットをかけて、仕掛け完成!

 この作業は、ゼミ生みんなやったことのある作業で、とてもスムーズに進みました。

 お昼ご飯をいただき、再び仕掛け作りに。

 漁師さんを含め8人で約300個の仕掛けを作り、この日の作業は全て終了。
「やっぱり人が多いと早く終わるね、ありがとう」
と何度も言ってくださり、来てよかった!、と思いました。


 作業後、殻が割れていたり、規定サイズより小さくて出荷できないエゾイシカゲ貝を食べさせていただきました。
 出荷できないサイズといっても、身はしっかりしていて、歯ごたえも抜群。
 何もつけずにそのままいただきましたが、甘味もしっかり感じました。
 
 エゾイシカゲ貝は、陸前高田市でしか、養殖(天然採苗方式)を行っていないとても貴重な貝です。
 お寿司にしても一貫400円という高値がつくほどの価値のある貝ですが、今のままだと跡継ぎがいなくなってしまい、養殖が続けられなくなってしまいます。
 若い人に漁業に興味をもってもらうのは難しいかもしれません。
 でも、陸前高田市にとって大切なエゾイシカゲ貝、そして漁業を消滅させないためにも、もっとたくさんの方にエゾイシカゲ貝を知ってもらう必要があります。
 今の漁業制度や作業改善を、試行錯誤しながら、どんどん進化させていくことが必要だと思いました。


 最後に、みなさんと写真撮影。
 「また来てね」とのお言葉をたくさんいただきました。

 お世話になった漁師さんと!
 ありがとうございました!


 一日目の作業後、Oさんに陸前高田市を案内していただきました。
 まずは箱根山
 他の漁業班のメンバーは二度目でしたが、私は初めての訪問。

 ここから、陸前高田市全体を眺めることができます。
 上から見てみると、地域によって復興の進度に差があることがはっきりと分かりました。


 もうすでに高台の造成工事が完了し、家が建ち始めている地区にも連れて行っていただきました。

 それに比べ、気仙町今泉地区はいまだに山を削っているところ。
「まだまだ復興は進んでいない。これからだ」
というOさんの言葉通り、実際に今でもたくさんの方が仮設住宅で暮らしています。
「あと3年なんて言われても待ってらんねえ」とOさん。
 今泉地区に住んでいた方は、あと約3年、仮設住宅で暮らさなければならない方もたくさんいます。
 宅地造成工事の完成を待てずに、新しい土地へと引っ越す方も多いそうです。
 ベルトコンベアが今年で撤去される、という事実を耳にしたときは、「やっと家が建ち始めるんだ」と思いましたが、実際は、地域間に大きな差があり、まだまだ復興は進んでいないことがわかりました。

 政治の話になりますが、今回の市議会議員選挙のトップ当選の方は、26歳の新人の方。
 ボランティアとして陸前高田市に来て以来、住居を陸前高田市に移された方です。
 地域のコミュニティが強いこの地域で、知り合いが少ないこの方が当選したことは、異例だそうです。

 震災から4年半。
 はじめて陸前高田市を訪問した2014年2月に比べ、仮設住宅に住む人も減り、コンビニや、イオンなど、建物も増えています。
 しかし、住民の方々が「まだまだ復興が進んでいない」とおっしゃる通り、震災前の陸前高田市に戻るのは、あと数年、2011年3月から数えると10年以上かかるそうです。
 住民のみなさんは大声では口に出さないけれど、心の中では‘このままではいけない、陸前高田に新しい風を吹かせたい’と思っているのではないかと感じました。

 確かに、震災当初に比べて、ボランティアや、関心のある人が減っているのは明らかです。
 ですが、一本松付近には、家族連れや、学生、多くの方が観光に来ていました。
 こういった陸前高田に関心を持つ人々が、実際に見聞きした今の陸前高田を伝えていくことが大切だと思いました。


 漁業以外でも、たくさんの方にお世話になりました。
 今年もたくさん、新鮮で美味しい魚介類やホルモンをふるまってくださった菊池会長はじめ、気仙茶の会のみなさま。
 本来ならお休みのところ、快くお店をあけてくださった車屋酒場の熊谷さんそしてご家族の皆さん。
 
 本当にありがとうございました!

 ‘合宿’という形で陸前高田市に訪問するのは今回が最後。
 春から社会人になり、定期的に訪問するのは難しくなるかもしれません。
 ですが、3回の合宿を通して出会った陸前高田のみなさんとのご縁を大切に、絶対にまた会いに行きます。