陸前高田合宿レポート 3回生 (1) 気仙茶

中村
 仙台駅から陸前高田までのバスから見る風景が、前回の合宿の時とはまた違って見えた気がしました。
 風景だけは少しずつ復興してきたのではないかと感じました。

 今回の合宿では、気仙茶班として活動しました。
 合宿前には、気仙茶の会・事務局長の小野さんと連絡を取り合っていましたが、文字での会話だったので、合宿当日にお会いするのが、正直、とても不安でした。

 合宿1日目。
 BRT脇ノ沢駅で降り、菊池会長のお宅を探すところから始まりました。
 近くには来たものの、どれが菊池会長のお宅かわからず、近くにいたおばあさんに聞くと、
「あそこの赤い瓦の家だ。どっから来たの?」
と聞かれ、
「京都から参りました!」
とお伝えすると、
「まぁー遠いとこからねぇ。若い子が来てくれるだけで年寄は元気もらえーだ」
と言われ、すぐにこの地域の方々の温かさを感じることができました。

 お宅に到着すると、菊池会長、東代子さん、小野さんが明るくお出迎えしてくださり、とても安心すると同時に、なんだか自分自身のおじいちゃんの家に里帰りしたかのような気持ちになり、心がなごみました。

 その後すぐに前田さんご夫妻とも合流。
 とても明るく、なんて聞き上手な方なんだろうという印象を受けました。


 小友町の川原園で、草とりの作業と、とった草を茶の木の周りに被せる作業をしました。
 作業の前には、前田さんが、手作りの紙芝居を見せていただき、この茶畑がどのように成長し、再生してきたのかということを知りました。

 紙芝居を読んでいる前田さんの姿に、涙が出そうになりました。

 このお茶畑は津波を被っているということは事前に知っていましたが、作業をする中で貝殻が出てくるたびに、今自分が作業している場所が、どのような状況になったかということを想像しただけで、胸が苦しくなりました。

 そして、今、このように綺麗な茶畑になっていることから、気仙茶の会をはじめとする方々が再生のために努力されてきたことということを改めて感じることができました。


 作業の合間の休憩では、前田さんがとても貴重な気仙茶をふるまってくださいました。

 色はとても薄いのにしっかりとした味や苦みもあり、素人のわたしでも、他のお茶との違いがわかりました。

 休憩の時には、菊地会長とお話することができ、そのお話の中で、
「この茶園からすぐのところでね、二つの津波がぶづかりあって、ものすんごい高さまで津波がどーんっとなって、もう大変だって聞いたべ。
 ここらはもうがれきだらけになるし。」
と、いつも明るい会長が、遠くを見るような目で少し悲しそうに言われていたのをよく覚えています。


 夜に気仙茶の会の方々が開いてくださった歓迎会では、小野さんや副会長の及川さんとじっくりお話する機会がありました。
 小野さんは、
「この地域の人は、畑で野菜を育てるように、昔からお茶を育ててきててね。あんな津波がきても、みなさんのように協力してくれる人の力もあって、こういう風に続けてこれてるから、これからも気仙茶を大事に守っていかないとね。なんて思ったり・・・」
と笑いながら言われていましたが、気仙茶へのさまざまな思いがあることを察することができました。

 このお話を伺って、
「これからも気仙茶のお手伝いを続けていきたい!」
という思いが高まりました。

 及川さんとのお話の中では、
「京都とかにある、宇治茶はね、ものすんごい規模でやられてて、言わばビジネスでやられていると思うんですよ。それとは違って、気仙茶は、代々、自家用茶として作られてきているわけで、別にわたしらの代でもっと規模を拡大していこう、って思わないんですよ。ただ、この気仙茶が続いていったらいいなぁと考えてて、つないでいくお茶をつくっていきたいんですよ。」
と言われ、皆さん、欲がなく、ただただ、この気仙茶を守り、続いていってほしいという強い思いがあるということが、すごく伝わってきました。

 京都・南山城村の木野園での茶畑活動は、「ビジネスの一部のお手伝い」という認識で作業を行っていましたが、今回の気仙茶の茶畑活動では、「人々の日常生活の復興に向けてのお手伝い」という思いで作業していました。
 気仙茶の再生とは、「人々の日常生活の復興の証」を意味しているのではないかと感じました。


 菊池会長宅では、写真がたくさん貼ってある部屋に案内していただき、そこには今までボランティアに来た人の名前や写真が部屋一面に貼られていて、会長が写真を指差しながら、一人一人の名前を言われている姿にとても感動しました。
「俺が死ぬまではみんなのもここにずっと貼っとくけんね!」
という言葉から、会長は、人との出会いをとても大切にしていらっしゃる方であるということがよくわかりました。

 その他にも、授業中でも先生からいただいたプリントでも見たことのある、ゼミOGの永井明日香さんとOB岡嶋恭平さんが関わった『気仙茶 聞き書き集』を見せていただきました。

 『聞き書き集』の説明する時の会長は本当にうれしそうで、あの笑顔は忘れられません。


 二日目。
 大船渡市末崎町の及川園での作業でしたが、雑草だらけの茶畑に驚きました。
 二ヶ月前に一回草刈りをしたと言われていて、雑草の成長の速さに及川さんや小野さんも驚かれていました。

 学生6人と会員3人で1日中作業をして、やっと茶畑に見えるくらいの雑草の量だったので、普段、会の方々だけではとても大変な作業であると感じました。
 小さいながらも成長を続けている気仙茶の茶畑を見て、
「わたし自身もこのお茶畑を守っていきたい ! 」
という思いが強くこみあげてきました。


 今回の合宿の中で感じたことは、川原園での作業の中で、震災直後はがれきだらけだったというお話でしたが、今の風景は田んぼが一面に広がり、心地いい風が吹くとても素敵な風景になっていました。
 その時私自身は、震災前の生活環境に少しずつではありますが、戻ってきているのではないかと感じました。
 川原園そして気仙茶の活動の中では、震災によって亡くなられた方の茶園を大切に守っていこうと活動しておられる、菊地司会長をはじめとする、気仙茶の会の方々に感動し、わたしもその活動のお手伝いがこれからもできたらいいなと強く思いました。
 このように思うことができたのは、菊地司会長をはじめとする気仙茶の会の方々の人柄の温かさもあったからこそだと思っています。

 わたし自身も、菊地司会長のように、人と人との繋がり、出会いを大切にしていけるような人になりたいと思いました。