陸前高田合宿レポート 3回生 (7) 仮設住宅

加藤
 9月14日(月)〜17日(木)伊達ゼミ3回生一同は陸前高田に行きました。
 半年ぶりの陸前高田の景色は、土地の高さが変わっていたことが印象的でしたが、それ以外にあまり変化はみられませんでした。
 初日は区長さんのお宅へご挨拶に行きました。
 インターフォンを押すと奥さんが明るく出迎えてくださり、区長さんがお仕事から帰ってくるまでの間、奥さんとお話をしました。
 高田一中の下にあったお宅は、新築だったにもかかわらず津波に流されてしまったそうです。
 「とても悔しい。悔しくて悔しくて・・・けれど、どうしようもないね。」
と少し諦めたにも聞きこえる言葉で、心の内を話してくださいました。


 15日
 私たち仮設班13人は、高田一中に訪れ仮設住宅を訪問をしました。
 前回、高田一中を訪れたときは、一対一で話す機会がほとんどありませんでした。
 そのため、どんなお話ができるかという期待と、私たちを受け入れてくれるのだろうかという不安で朝から胸がいっぱいでした。

 藤野とペアを組み最初に訪問したのは、Aさんでした。
 とても元気な方で、毎日、買い物し、ご飯は自分で作っている。また、お風呂も毎日、外に入りに行っている。仮設に設置されているお風呂は、「狭くて入れたものではない。今は物置にしている」。
 「仮設での生活は、4年半たった今でも慣れることができない」そうです。
 「不便なのはやっぱり部屋が狭いこと。ベッドを置いたらほとんど部屋が埋まってしまう。」
とおっしゃっていました。
 食料などを置く場所がなく、玄関などに置いているそうです。
 実際私たちが訪れた時も、大きな瓜が靴の隣に置いてありました。
 Aさんの暮らす仮設住宅は、ちょうどこの日、土台の工事をしていました。
 「2年で撤去されるはずだった仮設住宅が今5年目なんだから、こうなって当然だ。」
とおっしゃっていました。
 ご近所の方々が、「塗料の臭いがひどい」という会話をしていて、仮設での生活のしづらさや息苦しさを感じとることができました。

Aさんは、神社やお寺を巡ることが趣味で、「陸前高田にボランティアに来ていた方と同じ趣味で意気投合し、今でも一緒に巡っている。震災でいろいろな大切なものを無くしたけど、出会えた人もいる」と語ってくださった。



 2軒目は、Aさんのお隣に住む60代くらいのBさんでした。
 「京都から来た龍谷大学の者です」
と名乗ると、
 「また来たの?」
とそのBさんはおっしゃいました。
 翌日の鍋パーティ、棒サッカーの宣伝をすると、
 「そういうのは行かないの。行きたくない。」
とおっしゃいました。
 外出はするそうですが、集会所での集まりが嫌、人と話すのが嫌、なにより、私たちのような遠くから訪れるボランティアの存在にうんざりしているようでした。
 前回の合宿では、集会所に来てくれた方としか交流の機会がなかったため、今回このようなお話を聞くことができたのは、とても貴重なことだと思いました。
 人と関わることに疲れてしまった方に私たちは何ができるのだろう、と考えさせられました。
 集会所でのイベントの場でそのような話をしてくださる方はなかなかいらっしゃいませんが、今回、私たちが訪問したことで、少しでも本音をぶつけてくださったのが、とてもありがたかったです。
 ただお話を聞いてあげる、それだけのことがとても大切なことだと痛感しました。



 3軒目はBさんのお宅でした。
 玄関先で煙草を吸っておられました。
 「何をしてらっしゃるんですか」
と尋ねると、
 「別に何も。やることがないときは、いつも煙草を吸いながら、こうやってぼーっとしているのさ。」
とおっしゃいました。
 Bさんは、お仕事の関係で、この日も午後から県外に出張とことでした。
 息子さんと二人暮らしだが、入れ違いで、ほとんど一緒に過ごせる時間がないそうです。
 「料理は作ったりしないのですか?」
と尋ねると
 「料理はできないので、ご飯はほとんどコンビニ弁当。今までは妻が作ってくれていたが、震災で亡くしたので、今は誰も作ってくれる人がいない。」
とおっしゃっていました。
 Bさんは、会話中の無気力な様子が印象的でした。
 また、「私はもう年だから」という言葉を連呼していたことが、とても気がかりでした。
 次に訪れたときは、Bさんと一緒に料理を作り、食事をしたいと思いました。


 午後は、棒サッカーのシミュレーションを行いました。
 その最中、Cさんをはじめとする踊りの会の方々が「モルックをしよう!」と言って誘ってくださいました。
 モルックはフィンランドのスポーツで、道具はボランティア団体の方からいただいたものだそうです。
 このモルックというゲーム、とても頭を使うゲームで、チーム内での作戦が勝利のカギとなるものでした。
 踊りの会の女性陣がひそひそと作戦会議をしている姿は、とてもかわいらしかったです。
 モルックを終えた後、
 「疲れたね」
などと話していると、
 「"疲れた"って言葉は使っちゃだめよ、こういうときは、"頑張ったね"って自分をほめてあげるの。私はいつもそうするの」
とおっしゃっていて、その言葉にとても胸が詰まりました。

 モルックを終えた後、休憩を挟んで踊りの会の方々と、東京音頭・高田音頭・チャオチャオ(こんにちは、いらっしゃいという意味)を踊りました。
 モルックで体を使った後にもかかわらず、パワフルに踊る踊りの会のみなさんには圧倒されました。
 みんなで掛け声をかけながら踊るのはとても楽しくて、夢中になってしまいました。


 仮設訪問が終り、片付けを終えた後、Dさんという女性と話す機会がありました。
 Dさんは編み物が趣味らしく、カバンに可愛いブローチがついていました。
 私たちが
 「可愛いですね」
というと、
 「家にたくさんあるから取りにおいで、友達になった記念にあげる」
とおっしゃってくださいました。
 「友達」と言ってくれたことが本当にうれしくて、それだけで来てよかったと思えるほどでした。
 Dさんの家にいくと、編んだお花が暖簾にたくさんついていました。
 「やることがないから暇つぶしでしていたけれど、こうやって『かわいい』って言ってくれたり、あげる人がいると目的ができて楽しくなる」
とおっしゃり、次に訪れた時には、私たちのために作ってくれると約束してくださいました。


 夜は気仙茶の会の方がBBQに招待してくださいました。
 サンマやホタテなどたくさんごちそになるだけでなく、菊池東代子さんと一緒におしゃべりをしながらおにぎりを握ったり、奇跡の一本松に毎日水やりをしていたという小山さんとお話することができ、短い時間でしたが、とても充実したひとときでした。
 皆さん、本当にありがとうございました。


 16日。
 鍋パーティー&棒サッカーをおこなう日です。
 まずは、朝のラジオ体操です。(15日は、皆さん、フラワーロードの花畑のボランティアのため、ラジオ体操はありませんでした)。
 前の日に習った東京音頭も踊って、身体が温まりました。


 そのあとはお昼まで、ひたすら鍋の準備でした。
 前回の餅つき企画に比べ、ゼミ生たちだけで協力してスムーズに準備を進めれたのがとてもよかったなと思いました。
 そして、いよいよ鍋パーティーのスタートです。
 私がつかせてもらったテーブルには、EさんやFさんが座っておられました。
 「せっかくだからあなたが入れて」
 「あなたが取り分けて」
と、「もてなされよう」としてくださる姿が印象的でした。

 「こんなにいろいろ入っている鍋はわくわくする」
 「出汁が出ていて、とてもおいしい」
 「みんなで囲んで食べるのが楽しい」
 「シメのうどんまで考えていたのがとてもよかった」
とおっしゃってくださったことは、とてもうれしかったです。

 鍋の魚を食べながら、Eさんは、
 「陸前高田はお魚がとてもたくさんいたのよ。天然の鮎や鰻がとてもたくさん」と、とてもうれしそうに陸前高田の良いところをたくさん話してくださりました。
 しかし、その直後、急に寂しい表情になり、
 「でもあんなことが起きちゃったからね・・・」
とおっしゃいました。
 Eさんがどれだけ陸前高田を愛しているのかを知りました。
 陸前高田の自然や漁業に関して私はまだ知らないことが多いですが、Eさんの話を聞いてもっと知りたい、もっと学ぶべきだと感じました。



 鍋の後は棒サッカーです。
 私は鍋の後片付けのため参加することができませんでしたが、片付けをしている最中も棒サッカー会場から歓声や拍手が絶えなくて、とても盛り上がっている様子を感じることができました。

 片付けの後、少しの時間ですが、Gちゃんと遊ぶことができました。
 半年前に比べ物腰が穏やかになり、自分から話してくれるようになったように感じました。

 なにより、私のことを覚えてくれていたことが本当にうれしかったです。
 その後、Hさんも加わり、お話をしました。
 Hさんは、お孫さん2人と旦那様を震災で亡くされたこと、震災後ストレスで20キロ太ったことを話してくださいました。
 「あなたたちやGちゃんを見ていると、孫も生きていたらこんな風に大きくなったのかな、と考えるときがある」
とおっしゃいました。
 「あなたたちの名前を忘れないように」と、私たちの名前をメモをしてくださいました。
 また絶対に会いに行きます。



 夜は鶴亀鮨さんにお世話になりました。

 前回同様、カラーテープとともに記念撮影をしてくださいました。
 おいしいお寿司と記念撮影をありがとうございました。


 今回の合宿では、たくさんの人ではなく少数の人と時間をかけてゆっくりお話できたのがとてもよかったです。
 今後の合宿でも仮設訪問を続けていけたらと思いました。
 「ひとりひとりの復興」に少しながら寄り添うことができたような気がしました。


 今回の合宿で関わってくださった全ての皆様、本当にありがとうございました。